« 作家還暦の頃 その1 | トップページ | フィレンツェへの旅 その3 »

2006年2月 4日 (土)

フィレンツェへの旅 その2

ドゥオーモのクーポラ
 サンタ・マリア・デル・フィオーレ(花の聖母大聖堂・ドゥオーモ)の内陣を見た後、ブルネレッスキ作のクーポラ(円蓋)に上ることにしました。旅の初日でもあったので、ドゥオーモの内陣から見上げた高さ100メートル近くもあるというクーポラに、元気良く上って行きました。二重壁の間に築き上げられた500段近くあるという狭い階段を、ひたすら上っていきますと、途中、内陣を眼下に見下ろすクーポラの基部に巡らされた歩廊に出ました。この歩廊は、垂直の壁と円蓋の付着部に円周状に設けられた通路で、金網の防御柵があるため、高所恐怖症気味の私でも、なんとか歩くことができました。本心は、さっさと通り過ぎたいところでしたが、内陣から遠くに見上げていた丸天井のフレスコ画、ヴァザーリ他作の『最後の審判』が、手の届くような近くに見えるので、顔を引きつらせながらも、天井を見上げました。描かれた『審判』のそれよりも足もとの恐怖のほうが、切実な一時でした。画家たちは、大層大掛かりな櫓を組んでこれらのフレスコ画を描いたのだろうけれど、高所恐怖症の画家はどうしたのかなあ、なんて余計な心配をしながらの名画鑑賞でした。
 クーポラ頂上の展望台は、世界各地からの観光客で一杯でした。欧米人に交じって、アジアの人々も多い。とりわけ中国の旅行客が、目立ちました。眼下には、フィレンツェの街が、広がっています。今日から5日間滞在するフィレンツェの街を、ゆつくりと鳥瞰しました。遠くには、街を取り巻くように、なだらかなトスカーナの山並みが、眺望できます。フィレンツェへ来たとの実感が沸きます。
 展望台から降りての帰路、再びクーポラ基部の歩廊に戻ってきた時、下方の内陣の一角から、女声合唱による聖歌が聞こえてきました。薄暗い大聖堂の天井に近い地点に佇んでいて、足元の低い底から聞こえてくる美しく透明な歌声に、耳をすましました。合唱の後拍手がありましたから、ミサではなくコンサートだったのかなと思います。旅の最終日のヴェローナでのオペラに、胸踊る感動を覚えたのですが、この旅行初日のドゥオーモの女声合唱は、思いがけなく静かな喜びを、胸の奥深くに刻んでくれました。

« 作家還暦の頃 その1 | トップページ | フィレンツェへの旅 その3 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/155294/8496423

この記事へのトラックバック一覧です: フィレンツェへの旅 その2:

« 作家還暦の頃 その1 | トップページ | フィレンツェへの旅 その3 »