柘榴のスープ
酒井啓子さんの書評に誘われて、マーシャ・メヘラーン『柘榴のスープ』読む。
亡命イラン人の3人姉妹が、アイルランドの田舎町で開いたペルシャ料理店の物語。アイルランド版『ショコラ』といったところ。ただ、『ショコラ』では、ジュリエット・ビノシュ演ずるところの主人公ヴィアンヌの素性が、必ずしもはっきりしないのに対し、この3姉妹の過去は、明らかです。そして、この過去の出来事が、この小説の底流に流れつづけています。
アメリカ合州国(CIA)の傀儡政権であったシャーの暴政が、ホメイニによるイスラム革命を招来し、その混乱の中で、一家は亡命の道を選びます。
いままた、アメリカはイラクで同じ過ちを繰り返し、亡命者たちを、世界中にばら撒いています。
18歳のアイルランド青年と15歳になる亡命イラン人少女の、あまーい恋物語の背景には、こうした歴史が、横たわっているのです。
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