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2006年11月22日 (水)

「愛国の作法」を読む

 姜 尚中著『愛国の作法』を読みました。 このたび創刊された朝日新書の第1号です。
 時あたかも、教育基本法改正案について、参院での審議が始まったところですが、最も大きなテーマのひとつである「愛国心」について、ほとんど議論されません。著者は、それ故にこそ、この本で訴えているのです。
 「大切なことは、国を愛することや愛国心を、夜郎自大的な一部の「右翼」的な人々の専売特許のままにしておかないことです。もっとしなやかに、そしてしたたかに国を愛することや愛国心について語り、議論することが大切なのです。」
 私は、自分の言葉で「愛国心」を、いまだかつて一度も語ったことがないことを、改めて思い起こします。そして、著者の問題提起に、真摯に向き合っていきたいと考えました。 本書の中で、一番印象に残った一節を引用しておきます。
 

 「あのイラク戦争がカウントダウンを迎え、世界中に緊張が走っていた頃、わたしはイラクでの大量破壊兵器国連査察団の一員であった海兵隊上がりのスコット・リッターと会う機会がありました。
 戦争反対を唱える大勢の聴衆を相手に、開口一番、リッターは次のように高らかに宣言したのです。「私はこの戦争に反対する。なぜなら、わたしはパトリオットだからだ。わたしはアメリカを愛する。アメリカの憲法を愛する。だからこの戦争に反対する」と。
 「パトリオット」(愛国者)という言葉を聞いて、場内は一瞬、静まり返りました。意表を突かれた人が多かったに違いありません。・・・・・」

 著者の姜尚中さんについてひと言。
 何年か前に『在日』という彼の自伝を読みました。それ以来、新聞や雑誌で、彼のオピニオン・リーダーとしての活躍ぶりを、一種の感慨の気持ちを込めて見てきました。それは、姜尚中さんをはじめ在日韓国・朝鮮人2世、3世のひとびとが、日本の社会で能力に相応しい地位を確保しつつ、影響力を発揮してきていることに対して、日本社会も捨てたものじゃないな、と感じつつあるからです。しかし一方で、姜さんを指して「怪しげな外国人」と誹謗中傷する石原都知事のような指導者を持っているのも、この日本の社会なのです。
 今後の姜尚中さんの活躍を、心から期待しています。

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