捨てられた鶏たち
昨日の朝、犬2頭を連れて山に散歩に出掛けたとき、山中の小さな道に赤毛の鶏が1羽、両足を上にあげひっくり返った状態で、死んでいました。そこから数メートル離れた竹藪では、真竹の3分1位の高さの枝に、白色の鶏が止まり、悲しげに首を振っていました。道には、血が筋状に流れています。妻の話では、おとといの夕方、彼女が犬の散歩に行ったとき、10羽前後の鶏たちが、道の片側に肩を寄せ合うように固まっていた、とのこと。この2羽以外は、どこへ行ったのでしょうか。
さて、彼らは逃亡者か捨て子か。逃亡者の場合は、飼い主がわかれば一件落着ですが、捨て子の場合は、何故捨てたのかが気がかりです。宮崎の鳥インフルエンザのニュースが、いまだ進行中なのです。そこで、町役場に電話しました。すると、「大量に死んだのならともかく、1羽死んだくらいなら、獣にでもやられたんでしょう」ということで終わり。そうじゃなくって捨てられたとしたら、と言葉をつなぐ暇もなく、電話を切られてしまいました。
自宅の周りの里山には、よく動物たちが捨てられます。もう10年以上も前になりますが、娘が軍鶏(しゃも)を連れて帰ってきたことがあります。夜の暗闇のなか、近くの小さな橋の欄干に、ひとり寂しげに止まっていたとのこと。変わった捨て子でしたが、わが家で飼うことになりました。闘争心の強い鶏で、片羽を大きく広げて、しゅっしゅ、しゅっしゅと執拗に攻撃してきました。でも、抱いてやると大人しくなり、目を細めてウットリとしていたものです。結構かわいい奴でした。まだ鳥インフルエンザの話もなく、のんきな時代でした。他にペットの捨て子は、犬・猫が常連です。そのうち、猫8匹と犬1匹が、家族の仲間入りをしました。
しかし今回は、心を鬼にして、見捨てることにしました。竹の枝に止まった白鶏の姿が、目から消えません。
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