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2007年2月26日 (月)

ロダン展

 静岡県立美術館で『ロダン―創造の秘密』を観ました。フランス国立ロダン美術館コレクションの展示です。昨秋、盛岡で観たのですが、『パンセ』と『フナイユ夫人』の2作品を再び観ようと、出掛けました。
Photo  『パンセ(思索)』。ロダンの弟子にして恋人のカミーユ・クローデルをモデルにした石膏像(原作は大理石像で、今回来日しているのは、大理石像から型取りされたもの)。
 ミケランジェロ作『ピエタ』の聖母マリア像や船越保武作『聖セシリア』と共通する、静謐な美しさを感じます。
 ややうつむき加減のカミーユの美しい顔が、石膏の中に埋め込まれています。解説には、「物質から出現するパンセ」と評されていますが、私の受けた印象は、「出現」ではなく「埋め込み」でした。膝を折って、やや下から顔正面を見ますと、大きく見開いた目が、観る者を凝視するようです。ロダンとカミーユの10年にわたる関係が、破局へと向かい始めた頃の作品ということです。
 『パンセ』の隣に、『フナイユ夫人、手で支えられた頭部』(大理石像)があります。右側の肩と項(うなじ)を浮き上がらせ、左手で頭を支えたまままどろむ女性が、いまゆっくりと大理石の中から、優美な姿を現わそうとしています。大理石から解放されるやさしさを感じます。もともと石のなかに、その姿が隠されていたのではないかと思えるような、自然さがあります。
 フナイユ夫人は、ロダンのパトロンのひとりモーリス・フナイユ氏の夫人で、ロダンは、たびたび訪問したフナイユ家で目にした夫人の優雅な挙措に、つよく惹かれていた、とのことです。

2007年2月25日 (日)

ひと足早い春爛漫

 静岡の掛川市にある保養施設「つま恋」に行ってきました。満開の桜やまっ黄色のアカシアに迎えられ、ひと足早い春を楽しみました。

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 川津桜。園内の道路沿いに植栽されており、濃いピンク色が、落葉した周りの木々を励ますように、咲き誇っています。早咲きの大島桜と寒緋桜の自然交配種ということで、南伊豆の河津町で1955年に発見されました。

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 しなみ桜。中国原産の早咲きの桜で、川津桜と比べて、花の色は白っぽく、おとなしい。園内にただ一本だけ、静かに咲いていました。売店の方に聞いたら、昨年より1週間ほど早く咲いたそうです。

 

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2007年2月22日 (木)

美国人の日本語による中国紀行文

 先に読んだ陳舜臣さんの『茶の話-茶事遍路』は、著者が中国南部の茶の産地を訪れ、茶の歴史と地理を縦横に紡いだ、貴重な歴史紀行文学でした。リービ英雄さんの『我的中国』(岩波書店)は、中国の京(みやこ)と辺境を旅して、現代中国の諸相を鋭くあぶりだした、刺激的な現代紀行文学です。前者が、台湾から移り住んだ在日中国人2世の日本語によるノンフィクションの傑作とすれば、後者は、アメリカから新宿に移り住んだ日本在住アメリカ人の日本語による紀行文学の傑作です。リービ英雄さんは、少年時代に、外交官だった父親とともに台湾と香港での生活、つまり「両親が話すのとは違ったことば」が「母語ではないのにあたかも母語のように家の中まで響いていた」日常に囲まれた生活を経験しています。著者は、「中国大陸で生まれた英語の国名をもつ島国から、ぼくは中国に来た。もう一度ことばを聞くために、大陸にきたのである」。定住地日本、母語としての英語、使い続ける日本語、幼少年期体験の中国語、そして中国の現代史と今日現在への尽きることない好奇心。『我的中国』のキーワードです。

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2007年2月18日 (日)

故郷 西陣を訪ねる

   この金曜日、大学の同窓会に参加するため京都へ帰った機会に、私が生まれ、幼少年期を過ごした西陣を訪ねました。
P1030505_1  京都駅から、昔ちんちん電車の通っていた道路を、市バスで北野天満宮まで行きます。25日の梅花祭を間近に、満開に近い梅も多く、着物姿の参拝者が彩りを添え、境内は花やいでいました。天神さんは、数多い神社仏閣の中で、私にとって最も思い出深い場所のひとつです。正月3ケ日と毎月25日には縁日がたち、物売りや見世物小屋で、それは賑やかなことでした。お袋からもらった10円玉を握り締めて縁日に行くのは、子どものころの最大の喜びでした。夏休み、蝉がやP1030490_1 かましく鳴くもとで、ソフトボール
の試合をしたり宿題の絵を描いたりしたものです。  

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2007年2月15日 (木)

津軽言葉

 仕事で、庄内の鶴岡へ行ってきました。
 高崎から新潟を経て、羽越線で鶴岡へ向かいます。雪のない北蒲原平野を通り過ぎ、村上駅を発ってしばらくすると、左手に黒い日本海が広がります。右手は、山が迫ってきています。鉄道と海の間には、国道が通っており、その国道と海の間の狭いところに、家が建っていました。苫屋ではなく、住宅のようでした。猛烈な低気圧の通過が予報されていますが、まだこのあたりには、その影響は出ていません。波は穏やかです。崖下から海に入ったあたりには、大きくない岩がたくさん、海中から突き出ており、その先端には海鳥たちが、一羽ずつとまって、海の風を受けています。
 

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2007年2月12日 (月)

東京の休日

 上野の東京都美術館に「オルセー美術館展」を観にいきました。昨晩、NHKの美術番組で特集をしており、早速行くことにしたもの。人の多いことを覚悟のうえでしたが、9時半ごろ美術館に着いたときには、既に館内は相当多くの人びとで一杯でした。約2時間後に退出する頃には、入り口には長蛇の列ができ、入場制限をするほどにひとは膨れ上がっていました。
 「19世紀芸術家たちの楽園」をテーマとしたこの展覧会では、印象派の画家たちの作品を中心に名画をたっぷりと見せてくれ、満員の中ではありましたが、贅沢なひと時を過ごすことができました。

  

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2007年2月11日 (日)

春祈祷

 今日2月11日は、毎年恒例の春祈祷の日。9戸からなる隣り組の、年一回の総会のようなもの。昼前に町の焼肉屋に集まり、新年度の組の役員(輪番制)を決めるとともに、組内の約束事を確認しあいました。役員は、班長・衛生・農事の3つ。決め事は、主にお金に関わること。冠婚葬祭は、戸当たり5,000円、見舞い2,000円、出産祝い3,000円、そして年間3回の区全体(約50戸)での道路清掃不参加の場合の1,000円の拠出、等が、これまでと同様に確認されました。
 こうした決め事は15分もすれば済んでしまい、あとは酒を飲みつつ焼肉を頬張りました。お酒を飲むのは、集まった14人のうち男6人だけ。酒量もさほど多くなく、地味な会合でしたが、話題は昔の村の行事、それもこの2月に集中していた行事について、女性たちが語りました。

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2007年2月10日 (土)

NHKスペッシャル『日中戦争』を観る

 昨夜10時からのNHKスペッシャル『日中戦争』を観ました。1937年7月7日の盧溝橋での日中両軍の衝突に始まり、戦線が上海、南京へと拡大していく様子が、ニュースフィルムを通して描かれます。現地軍の挑発と暴走・政府の不拡大方針と追認を繰り返し、「暴戻支那の膺懲」をスローガンに、ひたすら戦線拡大の道をたどって行きました。アメリカからの軍需物資の輸入禁止を恐れるため、国際法上の交戦国となることを回避した宣戦布告なき戦いでした。

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2007年2月 4日 (日)

ちっちゃい春

 立春の今日、里山に春の先駆けがないかと、散歩に出掛けました。5分ほど歩いた自動車道路の道端に、淡いピンクの小さな花の群落を見つけました。北側は土手で、南に面した日当たりのいい場所です。高さは5センチにも満たず、花そのものも6,7ミリの小さなものです。ホトケノザ(シソ科)です。背丈がないため、対生の葉を写真に撮ることはできP1030479_1 ませんでしたので、蓮台(仏の座)の様子を現すことはできません。牧野の植物図鑑によりますと、4,5月頃の開花とありますので、いまどきの開花は、相当早いことになります。散歩道を注意深く観ていますと、タンポポの花が一輪だけ咲いていました。また、イヌノフグリの青い花が、ほんのわずかだけ、開花の準備をしているようでした。野の草花では、他はまったく見当たりません。暖冬とはいえ、まだまだ冬の真っ最中ですから、当然のことでしょう。
 春の七草のホトケノザは、キク科でこれとは別です。  

2007年2月 3日 (土)

陳舜臣著『茶の話』を読む

 この本は、茶とその文化の発祥の地、中国の「茶事遍路」(副題)を辿ろうとするものです。茶は、日常茶飯のように、ありふれた平凡な物事のたとえ(広辞苑)として用いられますが、この書を読んでいると、茶がただならぬモノと思えてきます。値段のつけようのない茶のために、財産を蕩尽した男の話や、朝廷への茶の進貢の不始末で、解任された唐の地方役人の話などは、古今、珍貴な食べ物や宝玉にまつわるよくある話です。また、18世紀、イギリスに喫茶の風習が伝わりつつあった頃、「茶は高価であり、時間の浪費であり、人びとを柔弱にする」という反茶運動が起こり、「茶よりもビールだ!」とのスローガンが叫ばれた由。このあたりまでは、「ただならぬモノ」と表現するには、すこし大袈裟すぎますが、茶が国家の戦略物資になったり、戦争の引き金となり国家存亡の危機と関係していたりすると、そうとも言っておれません。
 

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