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2007年2月10日 (土)

NHKスペッシャル『日中戦争』を観る

 昨夜10時からのNHKスペッシャル『日中戦争』を観ました。1937年7月7日の盧溝橋での日中両軍の衝突に始まり、戦線が上海、南京へと拡大していく様子が、ニュースフィルムを通して描かれます。現地軍の挑発と暴走・政府の不拡大方針と追認を繰り返し、「暴戻支那の膺懲」をスローガンに、ひたすら戦線拡大の道をたどって行きました。アメリカからの軍需物資の輸入禁止を恐れるため、国際法上の交戦国となることを回避した宣戦布告なき戦いでした。

 中国は、ヒットラーのドイツから最新鋭兵器を輸入し、ドイツはこれによって、莫大な利益を得ました。日独防共協定下での動きです。また、蒋介石は、スターリンにソ満国境への侵出を促し日本を牽制するとともに、日本軍の上海侵略を世界に訴え、日本非難の国際世論を喚起しょうと企てます。しかし、蒋介石の対日戦略は思うようにはいかず、日本軍は、首都南京を攻略するに至ります。
 こうしたなか、日中両国軍による戦闘によって、多くの人びとが殺され傷つけられます。今は既に90歳を過ぎた日本と中国の元兵士が、それぞれに戦場での戦闘の様子を語ります。細かな律儀な文字で書き込まれた自分の日記を、拡大鏡で読み返しながら、当時を思い出し、落ち着いた口調で語られます。
 番組の中で、衝撃的な場面を撮ったフィルムが、紹介されました。アメリカ人宣教師ジャン・マギーの撮影した、南京での中国人虐殺の映像です。画面は、二人の日本人兵士によって首をはねられかけた女性の、「首のついた上半身」です。後部から四分の一程度が斬られ、まだその女性は、生きているようでした。元日本兵は、虐殺としか言いようのない状態だったことを、証言します。

 NHKの、この番組にも現れた、歴史と真摯に向かい合おうとの姿勢は、高く評価します。民放には、ほとんど期待できなくなった現状では、NHKへの期待感は、大きい。私は、受信料不払い運動を一定理解をするのですが、こうしたNHKの努力も評価の上、私自身は、受信料を払い続けています。
 NHKについてはここ数年、話題が切れることがありません。この半年だけでも、次のとおりです。昨年秋に菅総務相によって、NHK国際放送への「北朝鮮拉致問題」放送命令がありました。また、東京高裁は1月29日、従軍慰安婦問題を取り上げた民間法廷の番組を改変したとして訴えられた「NHK番組改変裁判」判決で、NHKの責任を認めるとともに、当時官房副長官であった安部晋三等の政治的介入を、実質的に認めました。そして、「NHK受信料支払い停止運動の会」が、2月8日をもって解散し、あらたに「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」を作っていくことになったということです。「NHKを監視・激励」することに、私は大賛成です。現場の記者やプロデューサーたちのジャーナリスト魂に信頼を置きつつ、経営者たちの政治権力者に対する毅然とした態度を担保するのは、受信料を払い続ける一人ひとりの視聴者だと思います。
 

 

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