明治維新と靖国神社
小島毅著『靖国史観―幕末維新という深淵』(ちくま新書07.04.10)を読みました。
本書は、靖国神社の創設の経緯を、歴史的・思想的に丁寧にたどっていき、今日の靖国問題の根源に迫ろうとした挑戦的な試みです。靖国神社は「勤皇の志士たちを顕彰・慰撫するために創建されたのだ」との表現は穏健ですが「徳川政権に対する反体制テロリストたちを祭るために始まった施設なのだ」というと、同じ内容を指していても、過激で挑発的です。著者のいうとおり、本書は、靖国問題理解のための「檄文」なのです。「第1章国体」「第2章英霊」「第3章維新」と目次を読みますと、はてはてどのような内容なのかな、と一歩身を引いてしまいそうです。
「古来ゆかしい」宮中儀礼や日本の伝統、あるいは一世一元の慣行などは、朱子学の影響を強く受けた明治以降のものであることが看破され、「美しい日本」のうすっぺらさを改めて感じました。
表紙裏の著者紹介には、専攻は儒教史、東アジアの王権理論とあります。そして「近代史をラディカルに問いなおす気鋭の歴史学者として脚光を浴びている」と紹介しています。
コメント