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2007年8月 9日 (木)

小田実の『遺言』

 7月30日に亡くなった小田実の最後の著作となった『中流の復興』(NHK出版07.6.10刊)を読みました。巻末に「「あとがき」にかえて―友人、知己への手紙」という一文があります。それは、小田も審判員として参加していた「恒久民族民衆法廷」(略称「PPT」)の、現在フィリピンで起こっているアロヨ政権による、合法をよそおった非合法の殺し、弾圧、拷問に対する告発・証言・分析&判決文が添付された手紙です。そして、手紙の中に、小田の末期がんであることの「私事」が、伝えられています。4月21日の日付です。
 小田のホームページを開いてみますと、「市民のみなさん方へ」と題した6月2日付けの手紙が掲げてあります。内容は、上の手紙と同じものです。これは、限られた余命のなかで最後の力をふりしぼって書いた、小田実の遺言だと思います。亡くなる直前まで、弾圧されるフィリピンの有名・無名の人々への連帯と支援とを続け、誰か自分に代わってフィリピンへの調査団派遣を、と言い残して逝きました。

 「人生一巡、みなさん方とともに生きたこと、生きられたことを、幸いに思います。ではおたがい、奇妙な言い方かもしれませんが、生きているかぎり、お元気で。」

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