尾瀬ヶ原散策
鳩待峠を出発して、最初に出会ったのが、オゼヌマアザミ(尾瀬沼薊)でした。茎のいただきに一輪咲いたまるい花は、鮮やかな紫色が明るくきれいでした。この花が咲き始めると、湿原のにぎわいも徐々に遠退き、尾瀬は秋へと移っていきます。
鳩待峠と山ノ鼻の中間点あたりに、ヤマトリカブト(山鳥兜)の青紫色の花が咲いていました。鳥兜は、舞楽の楽人がかぶる鳳凰の頭をかたどった冠。塊根を干したものは烏頭(うず)といい、猛毒にして生薬となります。
山ノ鼻に着く直前の、川上川をわたる橋の辺りに、ソバナ(蕎麦菜)の小群落がありました。この花は、いつ見ても、おとなしく品のいい感じを与えてくれます。近くには、ヤマトリカブトも、数株ありました。牧野の図鑑には「蕎麦菜の意味で、軟らかな葉に基ずく」とありますが、意味不明です。
今日の主人公は、なんといってもサワギキョウ(沢桔梗)でした。鳩待峠-山ノ鼻-ヨッピ吊橋-竜宮十字路-山ノ鼻-鳩待峠というコースを散策中、ほぼ途絶えることなく咲いていました。この花の、吸い込まれそうな深い紫色は、この季節の尾瀬ヶ原を代表するカラーと言ってもいいかもしれません。
湿地には、緑色の葉を赤茶色の腺毛で包んだナガバノモウセンゴケ(長葉の毛氈苔)が、群生していました。無数にある細い腺毛の先端には、小さな水滴が着生し、真珠のように輝いていました(写真をクリックしてください。水滴がなんとも美しいです)。
ヨッピ橋近くのやや乾燥した草地には、ワレモコウ(吾木香)が、風になびいていました。根がいい香りのするキク科のモッコウ(木香)から来た名前ということですが、このワレモコウの根の香りは、さほど強くないとのこと。こちらはバラ科。
朝8時過ぎから歩き出し、鳩待峠に戻ってきたのは午後2時ころ。そして、酷暑の里へと降りてきたのですが、4時過ぎの高崎の気温は、車の温度計で39℃でした。
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