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2007年9月 9日 (日)

台風9号

 台風9号の直撃をうけ、私の住む吉井町はじめ群馬県西部の各所で、被害が出ました。
 私は出張のため、台風襲来日の前後3日間は家を留守にしていたのですが、9日の深夜から10日未明にかけて、台風被害を伝えるテレビの映像に地元の様子が繰り返し放映され、また家内からも電話で様子を聴き、落ち着いて眠れない夜を過ごしました。幼児のころ、京都の町がジェーン台風に襲われたとき、柱の細い古い官舎から頑丈な馬小屋に避難したとき以来の、妙にリアルな台風体験でした。

 8日(土)の朝日新聞朝刊によれば、近所の台風被害は、次の通りです。

 ①吉井町東谷地区。石材業の男性(60)が台風の被害を確認しようと野外に出たところ、心臓発作を起こして倒れそのまま死亡。救急車がかけつけたが、途中倒木や土砂で遮られ立ち往生。徒歩で駆けつけた時は、手遅れだった。
 ②富岡市では、自宅裏の土砂崩れを警戒し、6日夜から自家用車に避難していた女性(88)が行方不明。
 ③吉井町中島地区。鏑川が氾濫、139世帯241人が近くの小学校に避難。
 ④長野県境にある霧積温泉。2軒の温泉旅館に宿泊客6人と従業員4人が、途中の道路が寸断・孤立、その後ヘリコプターで救出。この温泉は、西条八十の「母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?」で知られた、山あいの鄙びた温泉です。
 このほか、道路の陥没や崩落も多く、南牧村では孤立した集落の様子が、今日の朝刊に報道されています。

 河川の氾濫による洪水のニュースを見たり聴いたりしたとき、いつも気になるのが、その被害の多くが新興住宅地に集中しており、昔から住んでいる地元の、とくに農家の被害が少ないことです。今回の近所の氾濫もその例外ではなく、今朝、車で現地近くを回ってみた限りでは、床上・床下浸水した地区は、新興住宅地でした。川に接した水田あるいは雑種地を造成して、住宅地にしたものです。
 鏑川は、この地区の上流は河岸段丘で、そもそも堤防はありません。が、この地区のすぐ上流から、川底が高くなり、低い堤防の内側を流れ始めます。今回、この堤防をオーバーフローしたのです。
 このあたり、地価が安いとはいえ新しく住宅を建てれば、3千万円前後は必要でしょう。一生に一度の大切な買い物のはずです。住宅地の立地については、学校・役所・病院・買い物等の社会的なインフラも大切ですが、それ以前に自然の怖さも、十二分に斟酌することが重要だと、改めて知らされました。

  昨日の朝、犬の散歩で、裏山を歩いてみました。道路は、木切れと木の葉で埋まっています。頂上にあったニセアカシアの大木が、根こそぎ倒木していました。ニセアカシアは、裂けて倒木しやすい木ですが、今回の台風は、浅い根を山の地面から引っ剥がすかたちで、倒木させました。桐の大木は、真ん中あたりでポキッと折れ、無惨な姿となっています。裏山のいささかの惨状に比べ、里の田圃の稲はほとんど倒伏せず、家の前の畑の蕎麦も、ほとんど被害を受けていません。稲も蕎麦も、完熟前だったのが幸いしたようです。 

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