もうひとつの可能な世界
アメリカ社会学協会総会でのナオミ・クラインの講演録『もうひとつの可能な世界―弾圧から蘇る希望』(「世界」07.12号)を読みました。ナオミ・クラインは、70年カナダ生まれのジャーナリストで、グローバリゼーション反対運動の活動家として知られています。この講演では、「もうひとつの世界」を希求する運動が、9.11事件の影響によって粉砕され、その後ますます新自由主義―自由市場、民営化、規制緩和が強圧的に進められていく様子が、話されます。そして、かつて第三の道が閉ざされてきた歴史を振り返り、この歴史を理解することのなかに、希望を見いだそうとしています。
反グローバル化運動の立脚点が、わかりやすくしかも力強く打ち出された講演録です。小泉・安倍構造改革政権によって疲弊した日本の現状をみるとき、ナオミ・クラインの講演は、微かではありますが、希望の光が射すように感じました。