映画『厨房で逢いましょう』
ある田舎町のレストランに集った三組のお客たち。彼らは、各々のテーブルでシェフ自慢の料理に舌鼓を打っています。会話ではなく、料理そのものを愉しんでいます。顔には満足の表情が一杯で、まさに至福のときを過ごしています。おや、皿を舐めている男性もいますよ。そして食事が終わったとき、全員が立ち上がって、シェフに対して賞賛と感謝の拍手を贈りました。たった三つのテーブル、二月まで予約で一杯、そして料金は300ユーロというレストランの、ある日のディナー風景です。思わず舌なめずりをしました。昼食をとった直後なのに、お腹が鳴るような気分でした。俳優たちは演技ではなく、きっと本当に美味しい料理を堪能しているんだなあ、と思いました。
ミヒャエル・ホーフマン監督作品『厨房で逢いましょう』(ドイツ・スイス 06)のワンシーンです。今年観納めの、ちょっと素敵な映画でした。エンド・クレジットが流れる様子を見ながら、心のなかで、満足のため息を吐き出しました。