気になるウェブ記事
防衛省汚職が、政・財・官を巻き込んだ泥沼の様相を呈し始めました。新聞・TV・週刊誌等の各メディアも、連日トップニュースの扱いで、事件の拡がりと底深さをうかがわせています。国会の追及と検察のメスがどこまで真相に迫ることが出来るのか。このニュースにはしばらく目が離せません。
ウェブ記事では、世に倦む日々が日米平和・文化交流協会の秋山直紀氏とその周辺による苅田港毒ガス弾処理利権について、詳細を報告しています。秋山氏は、日米政府関係者と日米軍需産業の癒着の中心にいると目される人物。検察は、更に沖縄米軍再編利権についても捜査の手を伸ばしています。守屋前次官のゴルフ接待といったみみっちい事件から、日米軍事同盟の暗闇を暴く大疑獄事件に発展する可能性がでてきました。
ル・モンド・ディプロマティーク(日本語電子版)には、編集総長イグナシオ・ラモネが『ファンドの貪欲』と題して、「プライベート・エクィティと呼ばれる新種のハゲタカ資本、莫大な資金を引っさげた貪欲な投資ファンド」について、簡潔でわかり易い解説を書いています。如何に貪欲なのか?
①ファンドが100の価値の会社を買収。自己資金30、銀行借入70(低金利)。
②3,4年で企業リストラ、生産合理化、事業開発。収益で借入金利払い。
③次に、別のファンドに200で売却。70元金返済、130手元に残る。
④結論:30の投資で130の利益。投資収益率300%以上。
「こうしてファンドの経営者たちは、莫大な富を懐に入れる一方で、雇用削減、賃金圧縮、業務のスピードアップ、そして事業所の移転という企業の「合理化」の4大原則をためらいなく実行する。政府当局もこれを後押しする」。
構造改革路線にたってハゲタカの自由な活動を許すのか、それともこれらの投機マネーに課税する通貨取引税(トービン税)を導入し、もうひとつの世界の可能性を求めるかが厳しく問われています。
ネット上で、世界のニュースを読み解く鍵を、適期かつ的確に提供してくれるのが、田中宇(さかい)の国際ニュース解説です。月に4,5回のペースで、中期的な展望にたった国際ニュースの解説をしています。11月27日号には、「年末から来年にかけて、世界では、危機がいくつも待ち受けている」と警告しています。
その1、東欧コソボ。コソボ独立をめぐるセルビア・コソボ間交渉が12月10日で期限到来。コソボが独立宣言をした場合、内戦からセルビア・アルバニア戦争の危険性がある。
その2、パレスチナ。米国アナポリスでの中東和平会議。この会議の失敗は、過激派ハマスの台頭、さらにレバノンに飛び火してヒズボラも台頭し、イスラエルがハマス・ヒズボラ両者と戦争することになる中東大戦争へ。
その3、イラク北部クルド。大油田キルクークがクルドに編入されると、トルコ・シリア・イランのクルド人独立運動に資金援助され、それに反発するトルコがイラク北部を攻撃する恐れ。この兆候は既に現われています。
その4、パキスタン・アフガニスタン。パシュトン人武装勢力タリバンは、パキスタン側のパシュトン人地域の併合を夢見てきた。このパシュトン人の夢の達成は、パキスタンのイスラム主義化、アフガンでのNATOの敗北、カルサイ政権の崩壊となる。
その5、最大の危機はアメリカの金融・経済。サブプライム問題に端を発したアメリカの金融危機と不況懸念、ドルの信用不安。
これらの危機が、年末から来年にかけて集中的に噴出しそうだ、としています。
最後に田中氏は、「多くの危機が重なって、アメリカの世界支配が崩壊に向かい、世界が多極化する事態を迎えている」と指摘しています。
防衛省汚職、ハゲタカ・ファンドの暗躍、そして世界各地での戦争の危機。これらのすべてが、アメリカの世界支配の下で起こっている問題であり、アメリカ政府が直接的あるいは間接的に関与して発生している問題です。田中氏が鋭く予見するように、アメリカの世界支配の終焉は、これらの問題にどのような影響を与えるのでしょうか。世界の多極化が予見されているとき、ひとり日本政府のアメリカベッタリズムは、私たち国民に何をもたらすのでしょうか。米軍再編計画への3兆円支出は、その最もわかりよい回答だといえます。そしてその3兆円に、日米のハイエナ企業が既に狙いを定めています。
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