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2008年1月 5日 (土)

ドキュメンタリー映画『カルラのリスト』

Photo ボスニア戦争末期の1995年7月11日、セルビア人勢力がモスレム人男性約8000人を殺害しました(スレブレニツァの虐殺)。残された女性たちは、集団レイプされ、強制収容所で出産を余儀されます。先に紹介した映画『サラエボの花』は、こうした被害者女性を描いたものでした。既に93年には、旧ユーゴスラビア内戦における集団虐殺や人道に対する犯罪など戦争犯罪を裁く国際法廷として、旧ユーゴ国際刑事法廷(ICTY)がオランダ・ハーグに設立されていました。99年8月、スイスの司法長官であったカルラ・デル・ポンテは、ICTY検事に任命され戦争犯罪者たちを調査、追及、そして起訴していきます。最大の責任者ミロシェヴィッチ元大統領の逮捕には成功するものの、スレブレニツァの虐殺を引き起こしたムラジッチや大物カラジッチは、セルビア国内に逃亡したまま逮捕することができません。ドキュメンタリー映画『カルラのリスト』は、ICTY検事のカルラと彼女の少数のスタッフとが、ムラジッチやカラジッチなどの戦争犯罪者たちの所在を調査し、追及する姿を描いたものです。

2  戦争犯罪者たちの逮捕権を持たないカルラは、関係国の協力に依存せざるを得ません。ムラジッチたちの逃亡先であるセルビアの首相との共同記者会見の場は、国際検事カルラの面目躍如としたシーンです。既にセルビアの協力によってあがった成果については、大いに首相を持ち上げますが、しかし、大物逮捕の協力については、極めて不十分であると、セルビア首相の面前で厳しく指摘し、彼を渋顔にさせます。カメラは、カルラの厳しい表情と首相の渋顔を、巧妙にキャッチします。
 ワシントンに乗り込み、国務省や国防省そして議会の要人と積極的に面談し、セルビア政府への圧力を要請します。また、ニューヨークの国連安全保障理事会で演説し、各国のもつ情報の共有等について、ゆっくりとしかも力強く訴えます。演説を終えて安保理事会のメンバーを見渡した瞬間、「拍手が」と私は思ったのですが、そしてカルラも期待していたと思うのですが、会場には沈黙の空気が漂っていました。国際正義の遂行が容易ならざることが、画面に映し出されます。
 カメラは、カルラと少数のスタッフの困難な活動を追いながら、それに並行して、夫を殺害され集団レイプの被害にあった女性たちを捉えます。『サラエボの花』の女たちと重なり合いながら、重く沈んだ悲しい表情が、映し出されます。彼女たちは、正義がなされることを待ち続けています。しかし、カラジッチやムラジッチが逮捕され有罪とされたとしても、彼女たちは、決して救われない。それほどに、残酷で非道な体験をしてしまっているのです。そのカラジッチとムラジッチは、いまだ逮捕されていません。 
 ICTYは02年、国際刑事裁判所 ICCに引き継がれました。07年10月、日本は105番目の締約国として加入しました。ブッシュのアメリカ政府は、自国兵が裁かれることを避けるためか、加入していません。遅まきながらも日本がICCに加入したことを機に、このドキュメンタリー映画が、緊急公開されたとのことです。現在、渋谷のUPLINK Ⅹというミニセアターで上映しています。 
 

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