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2008年1月25日 (金)

西暦がたどった道

  昨晩たまたま、新聞の番組欄でNHK教育『西暦がたどった道』という番組を見つけ、早速見てみました。年明けのブログで「あなたは西暦派それとも年号派」なんて記事を書いていたので、「西暦」が目に留まりました。番組を見て、自分の無知ぶりをあらためて知りました。(「知るを楽しむ-歴史に好奇心」 古今東西カレンダー物語 08.1.24放送)
 先に引用していた犬養道子さんの文章のうち「毎月の名(ローマ暦上の名をグレゴリアは変更しなかった!)」の部分をほとんど考えることなく引用し、その意味を必ずしも理解していませんでした。

 July=ユリウス・カエサルの月、August=アウグストゥスの月。イエス・キリストは、ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥス(オクタヴィアヌス)の治世下に生まれ、次の皇帝ティベリゥスのとき処刑されています。そして、オクタヴィアヌスの玄孫にあたる皇帝ネロは、初期のキリスト教徒を迫害し、虐殺しました。こうした歴史を持つ初期のローマ皇帝たちの名前を、16世紀のローマ法王グレゴリア13世は、月名を変更せずにそのまま使用することにしたのです。
 7月8月のついでに、他の月についても原意をメモしておきます。
  1月 January=時を支配する神ヤヌス(Janus)の月
  2月 February=浄罪(februa)の月 
  3月 March =ローマ神話の軍神マルス(Martius)の月
  4月 April  =美の女神ヴィーナス(Aprilis)の月
  5月 May   =豊穣を司る大地の女神(Maia)の月
  6月 June   =ローマ神話の女神ジュノー(Junius)の月
  9月 September=Septem+ber(第7の月) 
 10月 October  =Octo+ber(第8の月)
 11月 November =Novem+ber(第9の月)
 12月 December =Decem+ber(第10の月) 古代ローマ暦では3月が年始め(ウェブ辞書「Wiktionary」より)。
 こうしてみると、ローマの神々に由来する月名も、そのまま使っています。一神教と多神教。犬養さんの「ローマ暦上の名をグレゴリアは変更しなかった!」という発言の「!」の意味は、この2点にあつたのです。
 それともうひとつ。先のブログに、明治維新時の「陰暦から陽暦への改暦という歴史的大事業が、結構安易になされた、逆にいうと容易に出来た」と書きましたが、ことはそう簡単ではなかったようです。この番組の先週の回が「明治改暦大事件」と題して放送されました(残念ながら再放送も見ていません)。NHKサイトの番組案内には「太陽暦への人々の反発は強く、各地で暴動が起こるまでになった」と紹介されています。改暦は安易にされたのは事実ですが、「容易にできた」ことはなかつたようです。
 

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