新緑に染まって
日曜の朝は、お袋と家内を伴って、高崎・観音山丘陵を散策。10メートルと歩けないお袋は、車椅子に乗って、新緑を愉しみました。
うさぎの耳そっくりのシロダモの新芽が、開いていました。この冬には、暗い森のなかに、真っ赤の実をつけていました。葉の表面には、小さな毛がいっぱい生えています。写真をクリックして大写しにすると「うさぎの耳」の産毛がみえます。そっと触ってみると、柔かくてちょっと気持ちがいい。
« 2008年3月 | トップページ | 2008年5月 »
日曜の朝は、お袋と家内を伴って、高崎・観音山丘陵を散策。10メートルと歩けないお袋は、車椅子に乗って、新緑を愉しみました。
うさぎの耳そっくりのシロダモの新芽が、開いていました。この冬には、暗い森のなかに、真っ赤の実をつけていました。葉の表面には、小さな毛がいっぱい生えています。写真をクリックして大写しにすると「うさぎの耳」の産毛がみえます。そっと触ってみると、柔かくてちょっと気持ちがいい。
先週は、盛岡・仙台・静岡と連続出張となり、ソメイヨシノ満開の北の国から、新茶の摘み取りの始まった初夏の地を巡ってきました。季節の変わり目は同時に、両方の季節を愉しむことができます。
仕事の合間をみて、盛岡の町なかを歩いてみました。サクラを楽しむ人々で賑わう城跡公園を通って、紺屋町に抜けました。この界隈は、古い町並みが残っていて、落ち着いた雰囲気です。中津川に面して、白い土塀の建物がありました。芽吹き始めた柳の枝葉が、風に揺らいでいます。懐かしい風景です。1816年創業の商家、茣蓙九( ござく)の裏側です。表通りでは現在もなお、ザルやカゴなどの雑貨を商っていました。
今日の朝日新聞は一面記事に、「食の自給 外国人頼み」と題したルポを掲載しました。歌野清一郎記者は、高原レタス生産量日本一の長野県川上村を訪ね、レタスの苗植えや収穫作業などの農繁期の労働を、中国東北部・吉林省の農民に依存している現場を取材しました。また、近海カツオ一本釣り漁で日本一という宮崎県南郷町では、カツオ漁がインドネシアの水産高校卒業生の労働力に依存していることを、見出します。そして記者は、「食料の自給率が39%まで落ちた日本。中国製食品への不信が広がる一方、日本の自給の現場はいまや中国人頼みになりつつある」と報告しています。
農業現場での中国人「研修生」は、私自身、群馬県赤城山麓の高原野菜地帯や茨城県鹿島灘の施設メロン地帯で、見たり聞いたりしたことがあります。農業分野での外国人「研修生」は、06年で7496人。いまや、日本の農業には、欠くことのできない労働力になっています。
食料のカロリー自給率39%の一面です。
この「自給率39%」から見えてくること。
私の読書史のなかで、テーマにおいてもっとも重く、分量と期間においてもっとも長く読み続けた小説のひとつが、金石範(キムソッポム)著『火山島』(文芸春秋社1983,96,97刊)でした。
1948年、アメリカが強行した南朝鮮単独選挙に反対する「済州島4.3武装蜂起」をテーマにした小説。武装蜂起からゲリラ壊滅に至る1年間に、数万人の島民が虐殺されました。
在日朝鮮人作家で済州島出身の金石範氏が、1976年から20年かけて雑誌に連載し、単行本の第1部(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ巻)が1983年に、第2部(Ⅳ~Ⅶ巻)が96,97年に刊行されました。私は、この単行本を買って読みました。小説のなかの世界は、たったの1年余の時間ですが、それに小説家は20年の歳月をかけ、読者の私は、読み終えるのに13年かかりました。それから10年、今年は、済州島4.3事件の60周年にあたります。著者の金石範氏が今週、朝日新聞(08.4.17)へ寄稿文を寄せられています。歴史を記憶し続けることについて、深く感動的に語られています。全文を書き留めておきたい。
バラク・オバマ上院議員が、3月18日フィラデルフィアでおこなった人種問題に関する演説が、話題になっています。事の起こりは、オバマ氏の結婚式を司り、娘の洗礼を施したライト牧師のスピーチが、保守系メディアや共和党の格好の餌食になり、激しいオバマ攻撃をもたらしたことによります。オバマ氏の、理性的で説得力のある反論です。アメリカのひとつの側面を理解するための、大切なテキストとなります。
「大丈夫。狼は母ちゃんが食ってやる」。雪のふるなか道に迷った息子は、羊の群れとともに、狼におびえて立ち竦んでいました。ラクダにまたがり、広大な草原を探しまわっていた母親トゥヤーはやっと、彼を見つけ、強く胸に抱きしめました。中国の内モンゴルを舞台にした王全安(ワン・チャアンアン)監督作品『トゥヤーの結婚』のなかの、もっとも印象的なセリフのひとつです。