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2008年4月13日 (日)

オバマの3月18日演説

 バラク・オバマ上院議員が、3月18日フィラデルフィアでおこなった人種問題に関する演説が、話題になっています。事の起こりは、オバマ氏の結婚式を司り、娘の洗礼を施したライト牧師のスピーチが、保守系メディアや共和党の格好の餌食になり、激しいオバマ攻撃をもたらしたことによります。オバマ氏の、理性的で説得力のある反論です。アメリカのひとつの側面を理解するための、大切なテキストとなります。

 アメリカ在住の作家米谷ふみ子さんは、月間誌『世界』に、「続・私たちの町の草の根反戦運動」と題するレポートを、不定期に掲載しています。5月号では番外として、「2008年米大統領選観戦記」を寄せています。このレポートの最後部で、「オバマの3月18日講演」が取り上げられています。米谷さんは、オバマ候補がヒラリー候補とともに、原子力産業から選挙資金を貰っているため、「口ほどでもない」と思っています。しかし、ヒラリーの演説や行動、とくに軍の将軍との会議などで、彼女に嫌気がさしています。そして、オバマの3月18日演説。「人種に対する理性的な深い観察と彼の思いを演説した。」「オバマは朝の4時までかかって自分の言葉で理路整然とした原稿を書き、次のように演説したのだ。政治評論家たちはリンカーンのようだと褒め称えた。私は世界中の人々がこれを読み、考えるべきだと思った。」(『世界』5月号08.4刊)
  米谷レポートを読んだあと、演説原文(翻訳)をネットで検索したところ、原文(翻訳)そのものと、関連のブログがありました。
 藤永茂氏は、ブログ「私の闇の奥」で2月末以来、「オバマ現象/アメリカの悲劇(1)(2)(3)」および「ライト牧師は正しいことを言った(1)(2)(3)」と6回にわたり連載し、アメリカの「オバマ現象」を分析し、3.18演説を厳しく批判しています。
 藤永氏は、「オバマ現象」について言います。「黒人の男をアメリカ合衆国大統領として擁立しょうと熱心に努力する自分たちの姿こそ、アメリカ白人の心の正しさ、寛容さ、美しさを映すものであるとする自己陶酔、自己欺瞞こそが「オバマ現象」の真髄である」と。また、3.18演説については、「アメリカの歴史に残ること必定の名演説として賞賛され、評判になっている」としながらも、ライト牧師擁護の立場から、「アメリカという国の過去と現在の本当の姿を直視し、そこから国を糺す正しい政策を打ち立てるという姿勢がこの演説には全く見当たりません」と厳しく批判します。しかし、現実の大統領選挙については、マケインやヒラリーでは何ら希望を託すことはできないため、オバマが当選して、大統領就任後に大変身することに賭ける、としています。
 さて、演説原文(翻訳)です。是非、読んでいただきたい。アメリカの大統領予備選挙で、有力候補の一人が、こうした演説をしているということを知ることは、大変重要だと思います。私は、藤永氏の批判とは逆に、オバマ演説は、現在アメリカの陥っている諸矛盾を、非常に分りやすく分析し、そして向かうべき方向を、明確に指し示していると思います。アメリカ大統領に誰がなるかは、世界にとっても日本にとっても、大変重要なことです。今後の選挙戦の行方を、注意深く見守っていきたい。

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