« 食料自給率39%の意味 | トップページ | 新緑に染まって »

2008年4月27日 (日)

モリオカとチャとボローニャと

P1010730 先週は、盛岡・仙台・静岡と連続出張となり、ソメイヨシノ満開の北の国から、新茶の摘み取りの始まった初夏の地を巡ってきました。季節の変わり目は同時に、両方の季節を愉しむことができます。
 仕事の合間をみて、盛岡の町なかを歩いてみました。サクラを楽しむ人々で賑わう城跡公園を通って、紺屋町に抜けました。この界隈は、古い町並みが残っていて、落ち着いた雰囲気です。中津川に面して、白い土塀の建物がありました。芽吹き始めた柳の枝葉が、風に揺らいでいます。懐かしい風景です。1816年創業の商家、茣蓙九( ござく)の裏側です。表通りでは現在もなお、ザルやカゴなどの雑貨を商っていました。

P1010717 中津川のすこし下流に、岩手銀行旧本店本館があります。1911年(明治44年)竣工の赤レンガの建物は、日本銀行本店や東京駅を設計した辰野金吾・葛西萬司の両氏によるもの。重要文化財に指定されていますが、先の茣蓙九同様、現在も創建当時と同じように、岩手銀行中ノ橋支店として使われ続けています。史跡が史跡のみにとどまらず、現役として活躍していることに、すこし嬉しくなりました。ただ、こうした現代に生きる文化遺産が、周囲の無骨で安直に建てられたビル群によって囲まれ、景観が台無しになっているのを見ると、悲しくなります。 

P1010742  週の後半3日間は静岡。牧の原の茶畑では、摘み取り作業が始まっていました。茶の摘み取りは、南の早場地帯から徐々に北上し、山間部の遅摘み地帯へと移っていきます。新芽の色は、品種の違いや光線の具合によって、輝くような萌黄色から明るく鮮やかな緑色まで多様です。今、茶園が最も美しく多忙な季節です。P1010801_2
 煎茶のティーバッグ工場で、思いがけない機械に出会いました。先に読んだ井上ひさし著『ボローニャ紀行』(文芸春秋社08.3刊)で話題となっていたIMA社製のティーバッグ包装機です。イタリアを代表する産業であるボローニャの精密機械工業が、世界的な市場を確保してきた経過を綴った箇所に出てきます。「日本人は・・・お茶のパックをホチキスで止めるのを嫌う。金気のあるものを漬(ひた)したお茶は飲まない・・・こうして糸で括って日本茶を包む高速機械を作ったIMA社は、納入したあとも開発技術者を日本担当に据え置いて、機械の故障その他に備えました。一事が万事で、ボローニャの精密機械の評判がどんどん高まって、世界中に売れていくようになりました」と井上ひさしさんは、書いています。1分間に300パック作るそうです。見ていても眼が廻るようですが、井上さんがおっしゃるように、本当に器用な優れものの機械です。それはともかく、この本、大変おもしろい。サッカーの中田選手からホームレス劇団の話まで、多種多様、ボローニャがいっぱい詰まってます。「現在を懸命に生きて未来を拓くには、過去に学ぶべきだ」というボローニャ精神を語ってやみません。
 井上ひさしさんのボローニャへの思いは、戦後まもなく、井上さんが世話になった、ドミニコ会の神父さんとの出会いから始まっているようです。ボローニャが、聖ドミニコ会の発祥の地なのです。50年以上も、ボローニャに思い入れてきたとのこと。井上ひさしファンはもちろん、イタリア好き、ボローニャ好きにとっても、必読のおすすめ本です。 

 今晩のNHK・ETV特集で、「悲劇の島 チェジュ(済州)~「4・3事件」在日コリアンの記憶~」という番組が放映されます。このブログの前々回に書いた事件です。『火山島』の著者・金石範さんが出演されます。  

« 食料自給率39%の意味 | トップページ | 新緑に染まって »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/155294/41010650

この記事へのトラックバック一覧です: モリオカとチャとボローニャと:

« 食料自給率39%の意味 | トップページ | 新緑に染まって »