モディリアーニ展
外は今、花吹雪。一瞬、狂喜するような気持ち。4月1日に2,3輪の花をつけ、開花を始めた庭のソメイヨシノは、数日前に満開となり、そして今日、夕刻から吹きだした強風に、盛んに花びらを散らしています。
国立新美術館にモディリアーニ展を観にいきました。アメデオ・モディリアーニ(1884‐1920)は、藤田嗣治やシャガールなどとともに、エコール・ド・パリを代表する画家。引き伸ばされたような楕円の顔と異様に長い首、そして青いアーモンド形の眼。その独特の雰囲気に惹かれます。
35歳で夭折したモディリアーニの初期の作品『嘆きの裸婦』(1908 油彩・カンヴァス)がまず、眼をひきました。痩せ細った若い女性が、ちからなく口をあけ、眼を閉じたまま、嘆き悲しんでいます。背景が闇夜のように暗いなかで、頭部真後ろのブルーは、印象的。画面右下の作者サインのところに、逆さになった人の顔が描かれています。こちらのほうは、つんと澄まし込んでいます。完成作品なのかどうか。
モディリアーニの肖像画は比較的、動的な表情が少ないのですが、この作品は、例外的です。初期作品にセザンヌの影響が指摘されますが、この作品は、そのひとつなのかもしれません。
この絵に強く惹かれました。『若い娘の肖像』(1917頃 油彩・カンヴァス)。異常に長い首は、モディリアーニの十八番ですが、そんなに奇妙には見えません。視線をそらさず、口を堅くつぐんだその表情は、ちょっと人を見下したような感じですが、悲しげでもあります。服装や背景は、至極シンプルで飾り気がなく、顔は無表情なようで、この娘の個性を、強烈に現わしています。カットした髪の毛の黒と、明るく浮き出た顔と首の肌色が、美しい。左あごの黒子(ほくろ)が、観者を、妖しく惹きつけます。
モディリアーニは、短い生涯をおくった画家ですが、その作品の制作期間も、大変短い。1906年にパリに到着してから1920年に悲劇的な死を迎えるまでの14年間が、実質的な画家としての生活です。この短い期間に、この二つの作品にみられるように、大きく画風を変えました。今回の国立新美術館の企画も、この変遷に焦点をあてています。
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