お花見、そして『貧困大国アメリカ』
里の桜が満開です。家内とお袋をともなつて、甘楽町の公園へ、花見に出かけました。あとで息子夫婦と孫二人も加わり、大きな桜の木の下にゴザを敷き、おにぎりを食べながら、みんなで桜見物。風はなく気温もあがり、絶好のお花見日和でした。写真は、丁度お昼のころのもので、人の数は少なく、テレビに報道された大勢の人々で込み合う上野公園の花見が、別世界のようです。
昨年は、自宅と周辺の桜が、三分から五分程度咲いてだけで終わったのですが、今年は、二年ぶりの見事な開花です。我が家の桜は、里よりも数日遅い開花ですので、これから次の週末にかけて、じっくりと楽しむことができます。
先週は、今話題の堤未果著『ルポ 貧困大国アメリカ』(岩波新書08.1.22刊)を読みました。極端な民営化の果てに、多くのアメリカの人々が、貧困にあえぎ生存の危機に瀕している現状を、つぶさに報告しています。それは、アメリカのあとを無批判に追いかけている日本の私たちへの、警告の書です。
本書を読んでいて、学生時代に読んだマルクス著『資本論』第1部「労働日」を思い出しました。そこには、19世紀半ばのイギリスの労働者階級(女性・児童含む)の、悲惨な労働と生活の状態が描かれていました。『資本論』は、大変困難な読書だったのですが、この「労働日」の章は、具体的な事実について詳細に言及しており、例外的にわかりやすいところだった記憶があります。
この堤さんのルポは、アマゾンの本ランキングで10位、内「社会・政治」では、第1位となっているほどに、よく読まれています。社会の空気が、微妙に変わり始めている兆候のひとつかもしれません。新自由主義に対する批判的な議論が、目立ち始めた感じです。
本書では、過激な市場原理によって貧困層をターゲットに市場拡大する「貧困ビジネス」が、主要テーマのひとつとなっています。このビジネスの象徴的なのが、サブプライムローン問題ですが、もはや結論は明確になりつつあります。「貧困ビジネス」は、崩壊の一歩を踏み出し始めたのではないでしょうか。
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