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2008年5月25日 (日)

アツモリソウの赤城自然園

P1020277  朝方まで残っていた雨も上がり、雲は厚いもののもう雨はなさそう。そこで、10日ほど前の朝日新聞群馬面に紹介されていた、赤城自然園へ行くことにしました。セゾングループが1982年、リゾート開発のため120㌶の山林を買収し、同グループの解体後、「赤城山の自然を取り戻すという目標に向かって」作業が続けられてきました(朝日新聞5/14朝刊から)。
 赤城インターから15分ほど行ったところで、赤城自然園のゲート前に到着しました。小型の観光バスが1台と乗用車が数台、駐車場係りの初老の男性が、のんびりと車の誘導をしています。ゲート近くも閑散としており、観光地の様子は全くありません。なかには広大な森が、ひろがっています。

P1020281  ゲートを越えてすぐに目にとまったのが、サラサドウダン(更紗灯台)。樹高3㍍ほどの大きな樹でした。園芸店で鉢に入った小さな株を見たことがありますが、自然に近い状態で見るのは、初めてです。小さな釣鐘状の花たちが、目を楽しませてくれます。
P1020290 隣りには、ちょっとギョッとするような赤色のドウダンツツジがありました。ベニドウダン。花弁の先端が、鋭く切り込んでいます。これを見るのは、まったくの初めて。5㍉程度の小さな花ですが、存在感のある花です。P1020307
 こんな樹上小屋がありました。といっても、樹の部分は、コンクリート製。園内の施設は、このほか昆虫館があった程度で、あとは極力自然状態を保持しょうとしているようです。通路には、細かく砕いた木片が敷き詰められており、歩くのには弾力があって大変ここちいい。ただ、お袋の乗った車椅子は、車輪が道に食い込み、苦労が絶えませんでした。
P1020318  広い草地に、枝葉を横に広げ姿の整った小高木がありました。オオヤマレンゲ(大山蓮華)。モクレンの仲間です。花首を下に向けて咲く姿は、清楚そのもの。ミルクのような白色が、曇り空の草地を、明るくしてくれます。P1020329_2
 ナナフシ橋という不思議な名前の橋を越えたあたりは、薄暗い杉林でした。下草にオシダ(雄羊歯)が群生していました。この杉林は、戦後の造林運動のなかで、植林されたものです。セゾングループが買収したのは、このような山林だったのではないかと想像します。P1020421_2
 これから先の林内は、自然生態園と呼ばれ、赤城自然園のなかの最も魅力的なエリアを形作っています。山野草の宝庫なのです。道は、車椅子がやっと通れる幅の木道となり、押す方はすこし楽になりましたが、木道からの脱輪の心配があるため、気が気ではありません。お袋は60台前後には、毎週のように山登りに行っており、山野草を好んでいましたので、ここ自然生態園は至極満足のようでした。クサタチバナ(草橘)の純白の花が、可憐に咲いています。P1020400_3   
 可憐といえば、ギンラン(銀蘭)もそう。園内案内人(ほとんどが人生の先輩たち)のひとりが、その名前を教えてくれました。仲間のキンラン(金爛)は、もう少しあとで咲くとのこと。
P1020383_4  ゲートの受け付けに、「只今開花中」と写真入案内があったのが、アツモリソウ(敦盛草)。今日のお目当ての花です。園内の最奥部の昆虫館近くにある、との情報をたよりに探したところ、数株の花が咲いているポイントを見つけました。道からは4,5㍍離れており、コンパクト・デジカメの10倍ズームで、なんとかキャッチしました。実物は、紫色がもう少し濃い。草原の女王というらしいですが、その名に恥じない華麗な美しさです。P1020482
 園内のあちこちの大きな樹の下に、シャガ(射干)の群生地がありました。どこでも見ることのできる植物ですが、これほど大きな群落を見ると、美しさも格別です。P1020436_3
 この頃の山には、ガクアジサイに似た白い花をつける落葉低木を、よく見かけます。先の案内人から、カンボク(肝木)と教えられました。ヤブデマリやオオカメノキとそっくりです。ただ、葉の形が違う。カンボクは、葉が大きく3つに裂けています。他の二つは、先の尖った卵形。帰宅後ネットで調べると、これらはスイカズラ科ガマズミ属の仲間たち。昨日見たガマズミも仲間だったのです。

 赤城自然園は未だ、半分の面積しか公開されていません。今後が楽しみです。とりあえずは今夏、ゆっくりと訪ねてみたい。

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