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2008年5月 3日 (土)

憲法記念日

 高崎の音楽センターで、群馬9条の会等主催による「第24回憲法記念日集会」があり、参加してきました。2000席前後ある会場はほぼ満席で、昨年以上の盛況振りでした。中曽根元首相や福田首相のお膝元でも、9条を守ろうとの声は、確実に増えています。
 主催者代表の弁護士が、憲法の想定する社会と現実の日本社会との落差について考えてみたいと挨拶され、記念講演としてジャーナリストの斎藤貴男さんが『改憲の動きと格差社会』と題して話されました。

 斎藤さんの講演で印象に残った点を、いくつか紹介しておきます。
 まず講演の冒頭、朝日新聞5月2日朝刊の「改憲熱が冷めてきた」との報道を取り上げ、改憲積極派の小泉・安倍から慎重派の福田に首相が代ったからといって、個人の資質で、自民党の改憲志向が変わるものでない。映画『靖国』の上映中止問題やワーキングプアといわれる生存権侵害の問題など、憲法の空洞化と改憲の動きが、着実に進行している、と警戒感をゆるめることを諌めました。今朝の各紙の憲法世論調査の結果では、9条堅持が多数派となったと報じていますが、やはり斎藤さんの指摘どおり、気を緩めることはできません。
 講演の前半は、今日の格差社会が、政府・財界の方針に基づき意図的に作られてきたことを、大変わかりやすく解明されました。1995年の日経連報告書『新時代の日本的経営』について。バブル崩壊後の日本経済の長期低迷の原因は、本当は経営者たちの放漫経営による多額の不良債権の発生であるにもかかわらず、労働者の人件費が高すぎるために国際競争力がなくなったのだ、と責任転嫁し、従来の終身雇用制度から新たな雇用制度を提案しました。今後の日本社会の国民階層を3区分しました。①長期蓄積能力活用型(ひとつまみのエリート層で支配層となる)②高度専門活用型(優れた専門能力を持った階層)③雇用柔軟型(雇用者が必要なときに雇用し不必要になると解雇する階層)。これに基づき、労働基準法や労働者派遣法等の労働法規が、反憲法的に改悪されてきました。この結果、90年代初めは10%程度だった不正規雇用が、現在33%になっており、今後さらに比率を高めていくことが予測されています。エリートとスペッシャリスト以外は、すべて不正規化していこう、という訳です。雇用柔軟型とは、まさに非正規雇用そのものです。
 学校教育も後押しします。ゆとり教育の導入です。教育課程審議会会長の三浦朱門氏への斎藤さんのインタビューは、政府・財界・構造改革派の本音を語っていて、背筋の寒くなる思いがしました。三浦氏の「ゆとり教育」論。「平均学力は低くていい。日本の平均学力が高水準なのは、落ちこぼれの尻を叩いた結果。落ちこぼれの手間ひまをかけたせいでエリートが育たなかった。これからは、出来ないものは勉強などできんままで結構。実直な精神だけ養えばいい。落ちこぼれに金と労働力をつぎ込まず、効率よくエリートさえ育てばいい」と答えたという。つまり「ゆとり教育」は「エリート教育」だったのです。今度は、この「ゆとり教育」を見直して、習熟度クラスの導入によって、本音がより露骨になってきた。こうして、機会不均等の状態が生まれます。
 後半は、在日米軍再編計画、とりわけ首都圏の3つの基地(在日海軍基地-横須賀、空軍基地-横田、陸軍基地-座間)の再編に注目し、それが日米両軍の一体的運営を目指すものであることが指摘されました。日本が一層、アメリカの世界戦略に組み込まれます。しかし憲法9条がどうしても邪魔です。改憲は、アメリカの要求でもあるのです。
 講演最後に斎藤さんは、従来の護憲派に対して、戦後の平和と平等の欺瞞的な側面―総中流というなかでの被差別部落・女性・在日地朝鮮人等への差別の実態、人一人殺害していない平和というなかでの朝鮮戦争での戦後復興とヴィエトナム戦争での高度経済成長―について深く反省し、新たな平和と平等を求める運動を進めるべきだと問題提起をされた。(以上は、私のメモに基づいて書きましたので、細かな点で講演内容と相違する点があるかもしれません。大筋では間違っていないと思いますが。)
 

 

 

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