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2008年6月29日 (日)

カミーユ・コローのヤドリギ

P1020860  美術館の開く1時間まえに上野へ着いたので、公園のなかを歩いてみました。上野の森は、雨に煙っていました。空は暗い銀灰色に染まり、木々は新緑の輝きを一休みさせ、落ち着いた風情をかもしています。大きな白い花をつけたタイサンボク(泰山木)の前を、音大生がひとり、大きな楽器いれを両手に抱え、芸大キャンパスに向かっています。
 ホームレスの人たちの青テントが、すっかりなくなっていました。ただ雨の中、貧しい身なりの人たちが、ベンチにうつろげに座っていました。公園を後にした人たちは、どこへ行ったのでしょうか。
 

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2008年6月28日 (土)

日朝国交正常化への道

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、6者協議で合意した「核計画の申告」を議長国・中国に提出し、これを受けアメリカ合州国政府は、北朝鮮に対するテロ支援国家指定の解除を議会に通告しました。北朝鮮の核廃棄に向けた一歩が踏み出されたことを、率直に評価したい。これに連動し日朝間で、拉致問題解決に向けての前進がはかられることを、心から願います。韓国の金大中元大統領と盧武鉉前大統領の太陽政策が、6ヵ国協議を構成する周辺4ヵ国の首脳によって、継承され始めました。近い将来、これらの6ヵ国によって、東北アジアの平和と協力の礎が築かれることを、期待します。 

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2008年6月22日 (日)

ナツツバキの花

P1020791   どんよりした梅雨空、温度24℃・湿度74%は、じっとしている分には、さほど苦痛ではありませんが、ちょっと歩いたり立ち働くと、汗が噴きだして来ます。朝早く、近くの山を1時間ばかり歩いてきて、さっきまで汗びっしょりでした。シャツを着替えて、パソコンに向かっていると、微風は少し寒い感じすらします。今、雨が降り出しました。
 庭のナツツバキ(夏椿・別名シャラノキ 娑羅樹)が咲き始めました。京都の妙心寺・東林院の庭が、懐かしく思い出されます。毎年、この時期だけ開かれる塔頭で、苔のうえに落ちた白い花が、雨中、強く印象的でした。

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2008年6月15日 (日)

酒井啓子著『イラクは食べる-革命と日常の風景』を読む

   酒井啓子著『イラクは食べる-革命と日常の風景』(岩波新書 08.4.22刊)は、もてなしのイラク料理が思わず舌なめずりを誘い、著者による戦後のイラク社会分析が、頭の中のもやっとしていた霞をふり払ってくれる、そのような本です。
 例えばこんな具合です。「終章 ひっくり返しご飯」は、マクルーバというアラブ料理について。鍋底に羊肉・野菜を敷き、コメを乗せて炊く。できあがったら、大皿にひっくり返して、肉・野菜・ご飯がきれいに層をなしたら成功。レシピには、アラブ料理用スパイスとして、「黒コショウ、シナモン、オールスパイス、カルダモン、クローブ、ナツメグ、シュウガ、乾燥させたバラの花弁を混ぜ合わせたものを使用」とあります。キッチンから、イラク料理の芳香が漂ってくるようです。マクルーバは、「ひっくり返されたもの」の意。そして・・・

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2008年6月14日 (土)

磐越西線、猪苗代湖、安積疎水

P1020695 一昨日の午後、会津若松での研修会に参加するため、郡山駅から磐越西線の快速列車に乗りました。列車は空いており、幾組かの観光客らしき人々が、ゆったりと列車の旅を楽しんでいました。斜め向かいに座った70歳前後のご夫婦は、修学旅行生のように、浮き立つ気持ちを抑えられず立ったり座ったり忙しい。隣席の更に年長のご夫婦は、小ざっぱりとした服装で日除け帽を被り、白い運動靴を履いて静かに腰掛けています。お揃いのリュックサックには、何か一杯入っており、これから猪苗代湖畔を散策しょう、といった感じです。ちょっと幸せな、高齢社会の一シーンでした。

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2008年6月 8日 (日)

花岡事件

P1020538  先週の日曜日、勤め先同僚の母親の葬儀に参列するため、秋田・能代市に行きました。そして、能代から盛岡へ車で帰る途中、大館市の花岡鉱山跡地を訪ねました。
 花岡鉱山は、1994年に廃坑となっていますが、それまでの約100年の間、良質な銅・鉛・亜鉛のほか金・銀の貴金属をも採掘してきた、日本でも屈指の鉱山でした。アジア・太平洋戦争末期、強制連行されてきた中国人418名が虐殺された、花岡事件の起きた現場です。写真は、十瀬野公園墓地に建てられた「中国殉難烈士慰霊之碑」です。毎年6月30日に、この碑の前で、慰霊祭が行われています。

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2008年6月 7日 (土)

ユトリロの描いたパリの街角

Utrillo  上野公園の東京都美術館で開かれている『パリの100年展』を観てきました。お目当ては、モーリス・ユトリロの『コタン小路』(1910.11年頃)。漆喰の白壁と広い窓の建物に囲まれた小路とその先の階段。その階段を、長衣を着た人が昇っていきます。上部の木々の緑と空の青色は、画面を明るくしていますが、手前の小路と両側の建物は、静かで寂しい。右側の歩道の奥にも、人がひとり、建物のなかに入っていこうとしているようです。
 ユトリロの描くパリの街は、佐伯裕三のそれとともに、大変強く惹かれます。この『コタン小路』も、期待に違わず魅力的で、しばらく観つづけました。この静謐なパリの街を描きつづけたユトリロは、アルコール中毒に冒されていました。

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2008年6月 2日 (月)

『ハワーズ・エンド』の格言

Forster  「ハワーズ・エンド」とは、「古くて小さくてなんとも感じがいい、赤煉瓦の家」のことです。小説は、この家をめぐって、異質な二つの家族が出会い反発し合いそして結ばれていく、という風俗小説です。このカテゴリーを「世態・人情・風俗の描写を主とする小説」(広辞苑)と定義すれば、『ハワーズ・エンド』はまさに、20世紀初めのイギリスの「世態・人情・風俗」をたくみに描いた風俗小説です。
 谷崎潤一郎の『細雪』を連想させます。そういえば、「結婚」や妹の「自由奔放」な思想や行動が、重要なモチーフになっているところも、両者の共通なところです。そして誕生年は、フォースター1879年、谷崎1886年。同世代の作家です。
 E.M.フォースター著『ハワーズ・エンド』(河出書房新社 池澤夏樹編 世界文学全集Ⅰ-07 08.05刊)。

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