丸沼&日光白根山
早めの夏休みをとり、丸沼と白根山へ行きました。丸沼は高崎から100㎞北、金精峠の手前にあり、白根山噴火による堰き止め湖です。いつもは日光街道を尾瀬方向へ向かうのですが、今回初めて、金精峠へ向かい丸沼を訪ねました。夏休み前で人影も少なく、標高1430mの森に囲まれた湖畔は、清涼にして静寂の、まことに心地よいところでした。
湖畔では、ダケカンバやシラカンバの林が樹陰をつくり、草地にはやわらかい光が、こぼれていました。ヴィル・ダヴレーやモルトフォンテーヌは、こんな風だったのかと、コローの風景画の世界に、想いをはせます。ただ彼方の森や湖では、漁師や女たちが働いていましたが、此方では、釣りやボートで男たちが遊んでいました。
幹周りが2m以上はある、大きなダケカンバとシラカンバが、小道をはさみ並んで立っていました。こうして両者を見比べると、その違いははっきりとします。ダケカンバの樹皮が、光沢のある淡い赤褐色をして横に薄くはく離するのに対し、シラカンバのそれは白色で、大木になるとはく離は見られません。1400mのこのあたりでは、ダケカンバが多く、シラカンバは少数派でした。
仲間とともに白根山荘に泊まり、翌日は白根山登頂を目指しました。ところが、金曜日の朝は、雨。合羽を着ないと歩けません。ロープウェー山頂駅を8時30分出発、二荒山神社の鳥居前を経て、山頂へ向かった筈ですがこのパーティー、頑張らない登山隊、降りしきる雨の中、早々に山頂をあきらめ、4㎞ほどの散策コースを楽しむことになりました。
このコースのすべてが、2000~2300mくらいの森林帯にあり、下方はダケカンバなどの落葉樹で、上方に行くにつれ、オオシラビソやコメツガの針葉樹の森となっていました。オオシラビソの葉先には、かわいい新芽が吹きだしつつあり、比較的花の少ない森のなかで、静かで淡いアクセントをつけていました。
登り始めて40分位のところで、雨にけぶる白根山が姿を現しました。無理しないパーティーは、ここで遠く山頂を眺め、それなりに満足しました。実はこの隊、昨年の秋にここ白根山登山を計画していたのですが、台風のため諦めた経過があります。よくよく雨に縁の深い仲間たちです。
避難小屋で小休止したあと、すぐ近くの七色平で数株のハクサンチドリ(白山千鳥)をみました。濃い紫色が緑一色の湿原でひとり、目立っていました。チングルマやハクサンフウロも咲いています。森のなかの薄暗い小道脇には、朽ちた落ち葉に埋もれるようにギンリョウソウ (銀竜草)が、あちこち頭をのぞかせていました。小指ほどにもならない小さなキノコも、頭をもたげ始めています。
血の池地獄のあたりからくだりになりましたが、最近暴風雨に曝されたのか、大小の木々が倒れていました。少なくない数の倒木です。このあたりダケカンバとオオシラピソの混交林。
深い森のなかのスギゴケは生きいきとしています。みずみずしい緑色は、京都の庭園のコケよりも、一昨年散策した、屋久島のコケを思い出させます。薄ぐらい森のなかで、大きな岩一面に這うように、生えていました。雨中、森の散策は、11時ころ二荒山神社に戻ってきて、終わりました。
ロープウェー山頂駅前の広場のロックガーデンに、紅色のコマクサが植えられていました。その美しさにうっとりしました。
山頂行きを諦め、オオシラビソやダケカンバの森に半日遊んだのですが、久々の山歩きで、気分は爽快でした。
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