彼岸の尾瀬ヶ原を行く
彼岸の尾瀬ヶ原では、草紅葉がはじまり、紫紺色のリンドウやトリカブトが湿原一体に咲き誇り、春から夏にかけて目を楽しませてくれた花たちが果実となって、再び行きかうハイカーの目を引いていました。
尾瀬が初めてという古くからの友人を誘ってきたので、もっともスタンダードな、鳩待峠を出発し、山の鼻-ヨッピの吊橋-東電小屋-見晴し-竜宮-山の鼻の周遊コース約20kmを散策しました。今年の旧盆前にひとり歩いたコースと同じです。
今日は何よりも、エゾリンドウ(蝦夷竜胆)とオゼトリカブト(尾瀬鳥兜)に堪能しました。
エゾリンドウの花から、突然ハチが飛び出してきました。ハチの動きを観察していますと、ちょっとした花弁の隙間を見つけては、花の中に潜り込み、しばらくして飛び出してきた時には、両方の腰の部分に花粉を一塊づつつけて、また次の花へ潜り込むといった行動を続けていました。
山の鼻ビジターセンターのかたから、植物研究見本園の入り口近くに、白いエゾリンドウが咲いていることを教えてもらい早速、見に行きました。純白のエゾリンドウは、紫紺色のものに混じって、わずか二株だけ咲いていました。
オゼトリカブトの分布の広さとその数の多さにも驚きました。すでに鳩待峠から山の鼻へ降りていく山道沿いで見られ、尾瀬ヶ原一体で、ほぼ満遍なく見ることができました。9月は花の少ない季節との勝手な思い込みから、なんとなく9月の尾瀬行きは避けていました。盆前に来た時には、見晴の山小屋の前に、わずか2,3株のみ見ただけでした。色は、薄い紫色と濃い紫紺色とがありましたが、日当たりや栄養分が関係しているのかもしれません。
秋はやはり、植物の実が豊富。そのうちこんな妙な実を見つけました。ヒロハツリバナ(広葉吊花)の果実とビジターセンターで教えてもらいました(以下のほとんどの実についてビジターセンターで教えていただいた)。ニシキギの仲間で、花も緑黄色のニシキギの花に似ています。
小さな黒い実を枝一杯に着けているのは、ウワミズザクラ(上溝桜)の実。
朝露に光った黒紫色の実がありました。ルイヨウボタン(類葉牡丹)。ヒロハツリバナ同様、ルイヨウボタンの花も、おとなしい緑黄色です。花の時には地味でも、実になるとこんなにも自己主張が強くなります。
オオカメノキ(大亀の木)の果実。ガクアジサイやヤブデマリに似た装飾花のある花をつけます。この実で果実酒をつくれば、美しい赤色のお酒ができるそうです。鳩待峠から山の花へ下る山道に、ミズキとともに沢山ありました。
以下、名前のみ記しておきます。いずれも、目を凝らして歩いていると、「ここに我あり」と強く自己主張している姿があります。 ズミ(酢実)の実。
ツルコケモモ の実。
オオマルバノホロシ(大丸葉保呂之)。別名オゼナス。
« クッツェー著『鉄の時代』 | トップページ | グローバル・クライシス »
コメント