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2008年11月 8日 (土)

ドキュメンタリー映画『敵こそ、我が友~戦犯クラウス・バルビーの3つの人生~』

Img  元ナチス親衛隊中尉クラウス・バルビーは、1987年7月3日フランスの法廷で、第2次世界大戦時における人道に対する罪-ユダヤ人逮捕とアウシュヴィッツへの強制移送やレジスタンス活動家に対する拷問など-で有罪となり、終身禁固刑を宣告されました。
 フランス・リヨン近くのイジューのユダヤ孤児院から、収容所へ強制移送される子供たちの姿は、バルビーの憎むべき犯罪を雄弁に物語ります。しかし、ケヴィン・マクドナルド監督の視線は、戦後のバルビーにより強く、注がれます。 

 ナチス・ドイツ敗戦後まもなく、バルビーは、アメリカ陸軍情報部に入隊します。反共産主義工作員として、アメリカ軍はナチスの残党を庇護し、利用します。日本の化学・生物兵器研究組織であった731部隊の関係者が、その人体実験の研究成果をアメリカ軍に渡すことと引き換えに無罪放免になったのと、近似しています。アメリカ政府と軍にとって利用価値のある者は、戦争犯罪者であることがなんら障害とはなりません。しかしバルビーはフランス警察からの追求から逃れるため、右派のカトリック神父の援助を受けて、南米ボリビアへ亡命します。
 ボリビアへいってからの「活躍」は、アメリカCIAにとっては、まことに素晴らしい。親米軍事独裁政権への強力な助っ人となります。チェ・ゲバラの逮捕にも関与し、それが本人の自慢でもあったようです。アンデス山中にひるがえる鈎十字の旗は、バルビーが南米の地に、「第四帝国」を夢見ていたことを見せつけます。
 映画は、多くの関係者へのインタビューと、その間に歴史的映像を挿入しながら、すすんでいきます。
 裁判の場面でバルビーの弁護士が雄弁に語ります。バルビーは、ナチスのゲシュタポだった。ベトナムのアメリカ人将校と同じように。アルジェリアのフランス人将校やカブールのロシア軍人と同じように。なぜ、バルビーだけが、裁かれるのか?
 ファッシズムは、ナチス・ドイツとイタリア・ファッシズムと日本軍国主義の滅亡をもって、消滅したのでしょうか。そのように私たちは歴史教科書で学び、戦後は、あたらしい時代になったと信じてきました。しかしファッシストは、戦後世界の胎内で生きつづけ、アメリカの世界支配のために利用されてきたことが、この映画によって明らかにされました。現在の日本の軍国主義者たちの多くが従米的であるのは、「戦犯クラウス・バルビー」が胎内に宿っているためなのかもしれません。

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