馴染みの店が消えていく
先日、荻窪の職場近くの中華料理店が、店を閉じました。ここ10年近く、月に2,3度通っていた、ワンタン麺の美味しいラーメン屋だったのですが、暖簾のはずされた入り口には、「12月31日をもって閉店しました。40年来のご愛顧に感謝します」と、店主の律儀な性格そのままの文字で書かれた告紙が、貼ってありました。50代の主人夫婦とその息子らしい男性の3人で、店を切り盛りしていたのですが。
週央に出張した秋田では、常宿にしていたビジネスホテル・ハワイが、ことしの元旦付けで閉鎖となっていました。同ホテルは地元資本によって1965年創業され、秋田市内に3館1050室をもつ、東北最大規模のビジネスホテルでした。秋田市は、秋田新幹線の開通以降、市内の支店・営業所の閉鎖が続き、それにともない出張者が増加したといわれていました。また07年の「わか杉国体」もあり、04年以降、宿泊需要の増大を見込んだホテル建設ラッシュがおこりました。これに対して老舗のホテル・ハワイは、思い切った値下げで対抗しましたが、施設老朽化と客室稼働率の低迷で、閉鎖に至りました。私がいつも泊まっていたのは、ハワイチェーンのなかで最も新しい83年建設のラグーン店ですが、決して新しくはないが老朽化というにはほど遠く、会員価格3700円/泊は、びっくりするほどの廉価でした。08年12月31日現在(ハワイ閉店直前)、秋田市内には33ホテル4778室があり5年前の約1.3倍にあたるそうです。つまり、04年以降のホテル建設ラッシュで約1100室増加した計算になります。ホテル・ハワイの1050室がなくなり5年前と同水準となりました。宿泊者需要が増加したわけではなかったのです。新規参入のホテル資本の動機は、需要増を狙ったというよりは、老舗ホテルの既存需要を掻っ攫(さら)って行こう、ということだったのでしょう。地方都市でくり広げられているホテル建設ラッシュは、いずこも同じなのではないか。つまり、ホテル建設バブルです。ホテル・ハワイの3館1050室は今後、どうなるのでしょうか。恐らく取り壊されるのではないかと想像します。この資源の無駄は、どのように償われるのでしょうか。過度の自由競争によって、人も物も疲労困憊の極みにあります。
「Amazonプライム無料体験会員登録」にご注意!
アマゾンで買物をすると、1500円以上の書籍は送料無料ですが、それ未満は有料となります。また「お急ぎ便」といって、例えば関東の場合は、当日または翌日配送というサービスがあり、1回350円となっています。11月にある書籍を注文したとき、「通常配送」と「お急ぎ便」の選択があり、その「お急ぎ便」は350円のところ「Amazonプライム無料体験会員登録」をすれば無料になる、と書いてあった記憶があります。そこで安易に「お急ぎ便」をクリックしました。
夕方8時頃オーダーしたのが、翌日夕方配達されてきて、その速さに驚いたものです。その後、新書を2,3冊注文したのですが、いずれも1500円未満にかかわらず、配送料は無料で、すべて翌日到着でした。Amazonプライム会員になったという意識はなく、最近アマゾンは送料無料になったんだ、と軽く考えていました。
一昨日とどいたクレジットカードの引き落とし明細に、「Amazonプライム年会費3,900円」が12月に引き落とされていました。調べてみてわかりました。「おいそぎ便」へのワンクリックで「Amazonプライム無料体験会員登録」となり、それから1ヶ月後に自動的に正式会員になる、というシステムでした。「無料」で誘引して「正会員」に、つまり3,900円を自動的に取ってしまう、というわけです。あとのまつり。今朝、アマゾンに電話して会員登録削除と返金を求めましたが、一度でも「お急ぎ便」を使ってしまった方には、キャンセルできないとのこと。
アマゾンを重宝してきただけに、自分の不用意さを反省しつつも、裏切られた感じで、残念です。後味の悪い経験でした。はじめて、「クリック」の怖さを知りました。
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