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2009年3月 8日 (日)

ラ・トゥールとの再会

Img  上野の国立西洋美術館は、「ルーヴル美術館展-17世紀ヨーロッパ絵画-」を観る人びとで、大変なにぎわいでした。フェルメールやレンブラントの作品の前は黒山の人だかりで、頭と頭の間から観賞する始末。人混みに酔い、いささか疲れました。でも、ルーヴルの至宝71点の傑作は、十分に満足することができました。可能な方には、ウィークデーの朝一番(9時30分開館)での観賞をおすすめします。 

Photo_2  今日の1枚の絵は、なんといってもジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1593-1652)の「大工の聖ヨゼフ」(油彩 137×102㎝ 1642頃)。少年イエスがともす蝋燭の灯りのもとで父ヨゼフが、角材に穴を穿っています。少年は、父親の口許のあたりを見つめて、小さく話しかけています。父親の眼は悲しげに、息子の方に向います。蝋燭の光は暗闇のなか、少年の顔を明るく輝かせると同時に、左手の指を透きとおらせ、惚れ惚れとするほど美しい。左手ながら、イエスが父ヨゼフを祝福しているようにみえます。穴を穿つ道具は、十字架を想起させます。ヨゼフの悲しげな眼とあいまって、イエスの未来を暗示しているのでしょうか。
 ラ・トゥールの作品を始めてみたのは、4年前の春、同じ西洋美術館で開かれた「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展」でのことでした。現在知られている真作41点のうち、その半数が世界から集まるといった、画期的な展覧会でした。暗闇と蝋燭の灯りが照らしだす空間は、神秘的な静けさを漂わせ、たいへん印象的でした。すっかりラ・トゥールに魅せられてしまい、お気に入りの画家のひとりとなりました。今回の作品もまったく期待を裏切らず、しばしの間、見とれていました。

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