« 冷たい夏 | トップページ | 雅な祭り 七夕絵どうろう祭り  »

2009年8月 7日 (金)

「北限の茶」檜山茶を訪ねて

Img_12061_1_2  この週半ば、仕事で秋田へいった折に、「北限の茶」といわれる檜山茶の里を訪ねました。能代市檜山に着いて、道行く人に茶園の所在地を尋ねたところ、目と鼻の先に生産者である梶原茂兎悦さんの自宅が有りました。玄関には、「茶ようかん」の看板がかかっています。早速、梶原さんを訪ねました。

 玄関の土間で、お爺さんがひとり、ステテコ姿で昼寝をしていました。この方が、梶原さん。私たちの足音で目を覚まし、檜山茶の茶園を見たいとの申し出に、快諾のうえ案内までしていただくことになりました。
Img_12161_1  自宅から2,3分のところで車をおり、「注意 クマ出没」の注意書きを横に見ながらゆるい坂を上っていくと、茶園がありました。正面には「北限 檜山茶」と書いた看板が、誇らしげにたっています。茶園は、東側が小高い山で、南・西・北の三方が開けていますが、茶園の周囲は、杉の木が疎らに植わっています。30aほどの茶畑は、おおらかな管理の下にあるようで、蜘蛛の巣と雑草とが少々。茶畑の一部には、トマトとナスとアルストロメリアが、間作されていました。
 茶樹の高さは、私のひざ小僧よりも低く、茶摘みは深く屈んでやることになりそうです。しかし、低い茶樹は冬、雪にすっぽり覆われて、氷点下のきびしい外気から守られるための北国の智慧。八十八夜のころ、茶摘みではなくて古い葉を剪定し、1ヶ月後に新芽を摘むとの説明には、少々驚きました。一番芽は恐らく、萌芽前に霜害にあって使えなくなり、古葉とともに刈り込まれるのだと想像します。Img_1231_2
 ことしの茶摘みは、6月5日が最初。一番茶とニ番茶の中間の感じです。近所の友人たち数人が手伝って、朝8時半から11時半ころまでに、生葉を8㎏ほど摘んだそうです。茶摘みの後は、できるだけ早く作業するために、昼食時に、茶葉を蒸気で30秒から60秒ほど蒸したあと、焙炉(ほいろ、写真)のうえで手揉みして茶を仕上げた、とのこと。焙炉の熱源は、以前は木炭だったのが今では、プロパンガスに変わりました。こうしてできあがったのが、「北限の茶」檜山茶です。Img_1368_2
 記念に1袋買いました。1,000円/50gと高級煎茶なみの価格です。帰宅後開封して茶葉を見、飲んでみました。外観は、烏龍茶に似た形状をしています。香りは強く個性的で、萎凋香(茶葉が酸化発酵した時の香り)がします。人によっては、嫌な臭いと意識されるかもしれません。茶摘みから蒸らすまでの間に、生葉が萎凋した可能性があります。電話で梶原さんの姪に当たる方に聞いたところ、萎凋については特に気をつけていないようです。皆さん、大変美味しく飲んでいますよ、とのことでした。萎凋香を含んだ緑茶も、静岡あたりにも若干あり、もの珍しさから一部珍重されているようです。しかし、摘み取り後の工夫によっては、新茶の香りが、楽しめます。地元の高校生たちが、茶摘みや製茶作業を手伝っているとのこと。若い人たちには、新鮮な新茶の香りのほうが、受けるかも知れません。あるいは、中国茶を念頭に、軽く萎凋させて花のような香りをつけ、これを檜山茶の個性として継続させていくことも面白いかもしれません。この場合は、摘んだ茶葉を重ならないようにひろげ、天日あるいは日陰で、意識的に萎凋させることが、必要となります。はたして今後、檜山のみなさんは、どんなお茶を作っていかれるのでしょうか。 

« 冷たい夏 | トップページ | 雅な祭り 七夕絵どうろう祭り  »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「北限の茶」檜山茶を訪ねて:

« 冷たい夏 | トップページ | 雅な祭り 七夕絵どうろう祭り  »