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2009年9月26日 (土)

ドキュメンタリー映画『未来の食卓』

Banner_factory  渋谷・東急百貨店の近くに「UP LINK」という小さな映画館があります。正確には、映画配給会社アップリンクの運営する2つのミニ・シアター。ドキュメンタリー映画を中心に、マイナーな作品を地道に上映し続けている、ギャラリーやレストランも併設した、私Banner_xのお気に入りの映画館のひとつです。
 さて今日の目的は、ジャン=ポール・ジョー監督作品『未来の食卓』(原作名「子供たちが私たちを告白するでしょう」フランス)。

Img_main 「すべての学校給食をオーガニックにしょう」と立ち上がった村があります。南フランスのパルジャック村。カメラは、この小さく美しい村の、オーガニック化の1年を追いながら、子供たちとその親や農民たちの変化を捉えます。有機農法で育った野菜をおいしそうに食べる子供たち。多肥・多薬農法から有機農法への転換をはかる農民たち。
 環境問題を議論するユネスコ会議の模様が挿入されます。科学者や医者によって、農薬の危険性が告発されます。会場の参加者に環境科学者が問い掛けます。「あなたの周りに、がん患者がいますか?」「糖尿病患者は?」「不妊症患者は?」。ほとんどの参加者が手を上げました。これらの病気の主な原因として、環境破壊、とりわけ化学物質による影響が、厳しく指摘されます。といっても寿命は年々延びているではないか、との会場からの疑問の声に対して、「いまの子供たちの世代は、近代史において初めて、親の世代よりも健康的に劣る」とのアメリカ人科学者の警告が紹介されます。思わずギクッとするような指摘です。「親の世代よりも経済的に劣る」ことを経験しつつある現在、そのことと重ね合わせ、子供や孫の世代への私たちの責任を、痛感させられました。Img_sub  
 給食時の子供たちとコックの間での「食べ物」についての会話や、子供たちの野菜作りの実践は、食と農の教育のあるべき姿を、示してくれます。そして、フランスのオーガニック運動が、学校給食への有機食材の導入から始めていることに、運動の着実な広がりと深まりの可能性を、強く印象付けられました。時あたかも、花王のエコナ問題が騒がれているなかで、食の安全について改めて、深く深刻に考えさせられました。「食」と「農」と「ひとの未来」に関心のある人びと、必見の映画です。                                                                                                  

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