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2009年10月 5日 (月)

翔天空・尾瀬アヤメ平の秋 その一

Img_1895_1 週末は、年一度の心おきない友人たちとの、尾瀬散策。6回目の今年は初めて、竜宮-富士見田代-アヤメ平-鳩待峠の「天空の湿原コース」を歩きました。湿原は、草紅葉で明るく茶褐色に染まり、短い夏の間、私たちの目を楽しませてくれた湿原と森の植物たちは、赤や青や黒の美しい実をつ けて再び、自己アッピールに余念がありません。

Img_1904_1 10月第1週の週末は、尾瀬入山者数の3つ目のピーク。東京から来た友人たちとともに鳩待峠に着いた11時頃には既に、小雨が降る中、山小屋は雨具を着込む入山者たちで、立錐の余地がないほど混み合っていました。
 11時10分、鳩待峠出発。当初は「鳩待峠-アヤメ平-竜宮-尾瀬ヶ原」コースを計画していましたが、雨と霧のため、その逆のコースで歩くことにしました。雨に濡れた木の階段や木道が滑りやすく、特に尾瀬ヶ原の登り下りの森のなかが、大変危険でした。出発して間もなくの地点でしたが、白髪の初老の男性が、数人の仲間に囲まれて登山道に仰向けに横たわっていました。リーダーかガイドが電話で、倒れた男性の心臓の持病薬について、相手に話していました。滑って倒れたようでした。Img_1941_2
P1040770_1 鳩待峠-山ノ鼻間の森のなかの山道では、潅木たちの実を楽しむことができます。オオカメノキ、ミズキ、ヒロハツリバナ、マユミ、コマユミ、カンボク。鮮やかな朱色と漆黒の実が、雨に濡れて光っています。昨年の彼岸の日に始めた見た、奇妙な形をしたヒロハツリバナ(広葉吊花)の果実(右写真08.9.23撮影)は、裂果してエニシダ科仲間のマユミそっくりの小さな朱色の種子を、吊り下げていました。 
Img_2001_1 大湿原の草紅葉は、いまが真っ盛り。その主人公は、イネ科のヌマガヤ(沼萱)。1本の細長い葉は、中央に薄い緑色を残し、外にいくほど徐々に、茶褐色に枯れていきます。こうして、色のグラデュエーションを内包した無数の葉たちが、大湿原の草紅葉を形作っているのです。Img_1959_1
 湿原の縞模様は、やや淡い茶褐色の凸状地形をケルミ、濃い褐色の凹状地形をシュレンケといい、この凹凸地形の形成原因は未だわからず、謎となっているということです(この項、猪飼貴史編著『尾瀬自然観察手帳』JTBパブリッシング刊による)。

Img_1984_1 牛首のベンチ横には、真っ赤に色づいたナナカマドが、真紅の実をたわわに着けていました。木々の果実には、赤い実が多いようです。このあたりから、散策する人々の数も徐々に、減ってきました。
  

Img_2076_1 宿泊する山小屋のある見晴十字路の手前で、小さな青い実を一杯着けた潅木がありました。こうした青い実も、時には見かけます。何の果実かは現在検索中。



Img_1966_1 比較的のんびりと、散策を楽しみ、山小屋に着いたのは4時前でした。
 山小屋での楽しみのひとつは、早い夕食の後、ほろ酔い気分で、仲間の詠ずる詩吟を聴くことです。今年は食事前でしたが早々と皆酔客となり、唐の詩人・劉禹錫(りゅうう しゃく)作『秋思』という漢詩を聴きました。昔から秋は悲しいものというが、「秋日 春朝に勝る」と歌い上げました。初日は小雨模様のなか、残念ながら「晴空」を望むことはできませんでしたが、明日の晴れあがった秋空を念願し、はるか遠い唐の詩人の秋思う心に共感しつつ共に、美味しい焼酎を飲み干しました。(つづく) 

   
 
 

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