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2009年11月29日 (日)

柚子の実をママレードに

Img_28001_1_2   毎年11月になると、わが家は、柚子の香りでいっぱいになります。隣家から、とれたての大量の柚子の実を、いただくためです。だから、この時期の家内の仕事は、朝から晩まで、柚子のママレード作り一色になります。できあがったジャムは、来年の夏までの自家用と、近隣農家の農作物との物々交換用に使います。

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2009年11月25日 (水)

空海著『三教指帰』を読む

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 加藤周一は、若き空海の著書『三教指帰(さんごうしいき) 』(797年)を、「思想史的にみて画期的な意味がある」と指摘し、「時代の代表的な思想体系のすべてを、それぞれ検討して要約し、その相互の関係(優劣)をもとめ、異なる思想体系の全体に一箇の秩序(見通し)を与えようとした精神が、九世紀初頭の日本にはじめてあらわれた・・・。・・・日本思想は、ここではじめて、世界観の構造という水準において、仏教と出会った」と評価しています(加藤周一著『日本文学史序説上』 ちくま学芸文庫99刊から)。

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2009年11月23日 (月)

東アジア「読書共同体」構想のこと

 11月19日の朝日新聞朝刊に、外岡秀俊編集委員による「文化交流拠点を沖縄に」というコラムが、掲載されていました。10月末、韓国全州市で「東アジア出版人会議」が開かれ、そこで、「東アジア100冊の本」が発表された、とのこと。また同会議では、アジアでの安全保障や経済での共同体に先駆けて、まずは、文化共同体を目指そう、と論議されたことを紹介したうえで、外岡さんは、この「東アジア文化共同体」の交流拠点として沖縄を検討してみてはどうか、と提案しています。

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2009年11月22日 (日)

里山再生と竹林整備の講演会を聴く

 先週の竹林整備の体験学習会に引き続き、今週は、「里山再生のための竹林整備と竹材の有効活用」と題した講演会に参加しました。NPO法人上州高山・竹倶楽部と群馬県環境森林部の共催。講師は、福岡県の元森林技術研究員で、現在、竹林利活用アドバイザーとして活躍中の野中重之さんでした。

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2009年11月16日 (月)

映画『ポー川のひかり』

Photo  ボローニャ大学の古く威厳に満ちた図書館。聖人像が見下ろす広大な床一面に、太い釘で磔となった古文書が累々と、横たわっています。捜査に来た女性検事は思わず、つぶやきます。「まるで天才芸術家の作品」。『薔薇の名前』を思い出させるような、重々しくスリリングな始まりです。
  (エルマンノ・オルミ監督作品『ポー川のひかり』(原題“Cento Chiodi” 百本の釘 イタリア 2006年)。

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2009年11月14日 (土)

里山再生へ-竹林整備

P1090916_1  群馬県北部の高山村で開かれた、竹林整備の体験学習会に参加しました。地元のNPO法人上州高山・竹倶楽部の主催した「ECOプロジェクト“竹をう~んとつかうべや!”」のイベントのひとつ。
 まず、今日一日の成果を、ご覧いただきたい。間隔1メートル前後に間伐された竹林です。斜面の竹林の向こう側の空が、透けて見えています。見事というべきです。こうした竹林の景観が、日本から消えてどれぐらいになるのでしょうか。

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2009年11月 8日 (日)

定年後の日々

Img_2373_1  「定年後の日々」なんて文章を書くほどには未だ、定年後に十分に慣れていません。結構長い休みが続くなあ、といった感慨というか実感が、自分のいまの正直な感想かもしれません。谷崎風に言うならば、『猫と私と一人のおんな』の生活が(他に二頭の犬もいますが)、私の日常です。三者の関係は、私と女が、一匹の猫を取り合っている図です。猫が女にばかり甘えると、軽い嫉妬をおぼえます。庄造が、ふたりの女よりも、愛猫リリーに恋したのを、懐かしく思いだします。(谷崎潤一郎著『猫と庄造と二人のおんな』(新潮文庫刊)は、大好きな小説のひとつ) 

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2009年11月 7日 (土)

中国の写真家 沙飛

Img_1  今週初め前橋で、中国八路軍の従軍カメラマンだつた沙飛(さひ)の写真展を観ました。数日前の朝日新聞に紹介記事が掲載され、沙飛(1912‐49)が中国の報道写真家の草分けであり、魯迅やベチューンのデスマスクを撮ったことを知り、是非見たいと思っていたものです。

(写真は、写真展パンフレット表紙。万里の長城での戦闘1938年)。
 

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2009年11月 2日 (月)

ミルチャ・エリアーデ著『マイトレイ』

_1  エリアーデの『マイトレイ』は、イギリスの植民地カルカッタを舞台に、若い男女の出会いと恋の芽ばえから、ふたりの官能的な悦楽のときをへて、ついには娘の父親によってふたりの恋が破局を迎えるまでを描いた、悲恋物語です。ただ背景は、複雑です。1930年のインド社会では、宗主国と植民地、ヨーロッパとアジア、文明と野蛮、上流社会と下層社会、俗人と修行者など多様な背景をもった人びとが生活し、その間の緊張感が、ふたりの若い男女の恋愛に、深く影を落とします。(池澤夏樹編・世界文学全集Ⅱ‐03 河出書房新社刊より)

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