里山再生へ-竹林整備
群馬県北部の高山村で開かれた、竹林整備の体験学習会に参加しました。地元のNPO法人上州高山・竹倶楽部の主催した「ECOプロジェクト“竹をう~んとつかうべや!”」のイベントのひとつ。
まず、今日一日の成果を、ご覧いただきたい。間隔1メートル前後に間伐された竹林です。斜面の竹林の向こう側の空が、透けて見えています。見事というべきです。こうした竹林の景観が、日本から消えてどれぐらいになるのでしょうか。
私の住んでいる高崎市の観音山丘陵南方の里山も、竹林が荒廃し、しかもその面積が、年々拡張しています。こうした竹林の荒廃と拡大は、日本のいたるところで問題となっているようです。養蚕の衰退やプラスチックなどの代替品の普及により、真竹で編んだ篭などの竹製品は、使われなくなりました。また、タケノコや竹材の中国からの輸入によって、地元の竹林の利用価値は、更に低下しました。これに 竹林所有者である農家の高齢化と後継者不足が、竹林荒廃に、拍車をかけました。
写真中央が今日整備したところ、その左右が未整備のところ。未整備の竹林に接近してみると、次の写真のようになります。ほとんど間隔をあけるこ となく密生しています。こうした竹林の荒廃が、イノシシ、クマ、シカなど獣たちが、人里に接近してきた原因のひとつだと、今日の体験学習会の場でも、話題になっていました。私の住む里山でも、事情は同じです。
その体験学習。まず竹林に入って、竹の切り出しを体験しました。私たち外部からの参加者には、村民である 竹倶楽部メンバーが、付き添って手ほどきをしてくれました。真竹は高さ20メートルほどあり、切り倒した後の運搬が、なかなか大変です。参加者が、約5メートル間隔で竹林の斜面に陣取り、切り倒した竹を下方へすべり降ろ します。そして下で待ち受けた別の参加者が、この竹を、上の枝葉が多く細い部分と下の枝葉のない太い部分とで分断し、前者は竹粉砕機で細かなチップ状に、後者は竹丸太にして竹炭の材料となります。今日の私たち仲間の参加目的は、この竹粉砕機の体験学習でした。粉砕機に竹を差し込むと、バリバリバリと大きな音をたてて、 たちまち飲み込んでしまいました。そして出口からは、青い香りを放ちながら粉状の竹が、噴き出されてました。なかなか強力な機械です。このチップは、容易に発酵し良質の堆肥になるとのことでした。
丸太となった竹は、次々回の体験学習会のテーマである竹炭の材料となります。私たちは、こちらにも参加し、なんとか竹炭にも挑戦してみたいと意欲的です。
農業生産者ではない私は、正直のところ、竹チップの堆肥や竹炭については、さほど興味があるわけではありません。私が欲しいのは、わが家の周辺の、美しい竹林のある風景です。ふるさとの竹林を懐かしく思い出しながら、今日高山村で実現したことに、 大きな満足を得て、帰ってきました。そして、この美しい竹林つくりが、定年後の大きな仕事のひとつとなりそうな、予感がします。
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