竹林との共存をめざして
自宅周辺の里山に、竹林の現状を見てまわりました。ほとんどの竹林は、密集していて超過密状態にあり、枯死した古竹が、あちこちに倒れ掛かっています。放置された竹林が、猪や狸など野獣類の隠れ場になる、といわれますが、そうした獣たちの立錐の余地すら、ありません。竹を採ることもなく、タケノコさえ、とくに真竹の場合、とらない場合が多いようです。
七,八段の棚田を形成する谷地の最奥部に、前方を篠竹のカーテンで塞がれ、後方を孟宗竹に囲まれた小さな溜め池がありました。晴れた昼間でも、陽が翳り、辺りは薄暗く、勿論人気は皆無です。竹林に降った雨水が、この池に溜まるようになっています。池には、枯れた竹と落ち葉が重なり、バケツで水をすくいあげると、腐臭が発散しました。これらの棚田は、昨年から、完全に耕作放棄されました。
林道の脇にあった桧林です。幹周り50㎝程度の桧林ですが、隣の竹林から、真竹が侵入してきており、いまでは、桧と真竹の混交林になっています。両者が、上へ上へと、樹高を競っています。いずれ伸長速度に優った真竹が、その競争に勝って徐々に、桧が後退していくと予想されます。 竹は、コナラやクヌギなどからなる雑木林にも、侵入しています。この周辺の里山には、こうした雑木林が多いため、この現象が一番目立ちます。コナラやクヌギは、椎茸の原木として利用されているので、椎茸農家にとっては、深刻な問題です。管理の行き届いた雑木林と比べ竹の侵入した雑木林のクヌギは、ひょろっと背高に伸びており、生産性の低さを感じさせます。
昨年の冬に伐採された雑木林です。ほとんどが皆伐されるのですが、この林の場合、間伐されています。左側には既に、篠竹が生えてきています。そして、この雑木林の向こう側からは、真竹が迫ってきています。ここは、小高い丘のうえに静かな小道があり、野鳥たちのさえずる声も多く、私の大好きな散歩道です。このまま放置すれば、この夏には、雑木林一面に篠竹が生い茂ることだろうと、想像します。
真竹が県道に倒れ掛かっています。これは、数日前に吹いた強風のために、倒れたもの。当地は雪が少ないので、降雪による倒伏は余りありませんが、その少ない降雪の場合には、100%倒伏して、自動車の通行を止めてしまいます。このあと家内とともに、倒れた竹を刈り取ったのですが、そのとき腰と背筋を痛め、週明けの今日、医者へいく羽目となりました。
しかし、竹林の荒廃を嘆いてばかりでは、仕方がありません。なんとかしなきゃあと、地区の男たちが集いました。昨秋の高山村での竹林整備の体験学習が、大変良い刺激となり、私たちの区でも、2月7日に、「竹林整備講習会」を開くことになりました。区内と周辺区に案内をしたところ、40名近くの参加申し込みがありました。講習会では、参加者によって竹林伐採と竹粉砕機の実習を行います。女衆は、集まった参加者に、昼のおにぎりと豚汁を振舞おうと、準備に入りました。赤・黒の古代米の入ったお握りになるはずです。こうした取り組みの数々が重なって、里山での人と竹林との共存の知恵が自ずから、育まれていくのではないかと、秘かに期待しています。
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