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先週の金曜日、NHK・BS番組 「『留用』された日本人-日中知られざる戦後史」を観ました。2002年に、日中国交正常化30周年を記念して制作された、戦後中国へ留用された日本人たちの証言を記録した番組の再放送です。ここには、日中間の正(プラス)の歴史が、記録されています。日中間の交流と友好な関係が、幅広くしかも奥行きの深いものとなっていくためには、こうした歴史研究やTV番組の制作・放映は、負の歴史を記録し記憶しつづけることと同様に、大切なことだと思います。
加藤周一は『日本文学史序説』で、平安時代を代表する文学作品として『源氏物語』と『今昔物語』をあげてますが、前者を「「日本化」された外来思想の枠組を用いながら、土着の感受性を、極端に閉鎖的な環境のなかで洗練した文学」と評し、後者を「土着の世界観を背景とし、実生活上の智慧を、同時代の大衆とのつながりを通して徹底させた文学」と評価しました。そこで『源氏物語』のあとは、『今昔物語』を読むことにしました。
まず、角川ソフィア文庫の『今昔物語集』を読んだのですが、それはあまりにもおもしろく、しかし掲載された話は29話とあまりにも少ないために、福永武彦訳『今昔物語』(155話、ちくま文庫 91刊)もあわせ読みました。
2枚の絵は、市場での買物風景(『扇面法華経冊子』四天王寺蔵)と鬼が出た様子(『百鬼夜行絵巻』部分・室町 写本 東北大学蔵 )を描いたもの。『今昔物語』の絵画イメージです。角川文庫本の見返し部掲載の絵を参照した。
東アジアの近現代史を学ぶことを、定年後の読書指針のひとつとしています。勿論、日本(人)にとってのアジアの意味を理解するためです。そして中国は、朝鮮・韓国とともに、学習の中心となります。
一昨日、本屋の棚で、偶然見つけたのが、渡邊一民著『武田泰淳と竹内好 近代日本にとっての中国』(みすず書房 10/2刊)です。早速読んでみました。(写真:竹内好と武田泰淳 1975東京 筑摩書房提供)
小さな画廊の壁には、7枚のセピア色の油彩が、かかっていました。リューベック、アルトナ、メーレンと北ドイツの都市名が表記され、市庁舎や住宅、倉庫などが描かれています。いずれも、静かな街のたたずまいをセピアカラー単色で彩り、今までに経験したことのない不思議な絵世界がひろがり、思わず引き込まれました。
(「孤高の画家 島崎蓊助 セピア色に込めた執着と解放」展は、東京銀座・ヒロ画廊で3/13まで開催中)