水芭蕉の尾瀬
昨日、尾瀬ヶ原を散策しました。戸倉には7時に到着、天気は快晴で気温10℃。空気がピリッとしていて気持ちがいいが、日差しは強い。第一駐車場には、三分の一ほど車で埋まっており、平日にしては多いなあ、との印象を受けました。
鳩待峠から山ノ鼻へ下りていく途中で、はやばやと、水芭蕉のお出ましです。昨年は6月13日に入山したのですが、水芭蕉の花はすでに終わりに近く、むしろ春と夏の花たちの共演を楽しみました。だから、今年は6月あけ早々に、やってきたのです。10㎝から15㎝ほどの白い妖精たちが嬉々として、咲き誇っています。家内は、この時期の尾瀬ははじめてで、こんなに小さくて清楚な水芭蕉ははじめてみた、といって感激しました。
ニッコウキスゲの咲く7月中旬にもなると、水芭蕉は花も葉も大きく成長し、純白の仏炎苞と呼ばれる苞もやや汚れてしまいます。やはりこの花は、雪の残る今の季節が、ふさわしい。
山ノ鼻周辺の群落も見事ですが、このあたり人が多く、ゆっくり楽しむことができません。竜宮分岐点から富士見峠へ向かう木道には人気なく、至仏山を背景に、見事な群落がありました。この日はじめて、静かに水芭蕉を愛でることができました。
湿原の多くの植物がまだ、枯れたヌマガヤ(沼萱)の下で眠っている中で、ショウジョウバカマ(猩々袴)やタテヤマリンドウ(立山竜胆)が、あちこちでまんべんなく、咲いていました。水辺には、水芭蕉につれ添うように、リュウキンカ(立金花)が咲いています。竜宮小屋の周辺では、ヒメイチゲ(姫一華)・イチリンソウ(一輪草)・ニリンソウ(二輪草)が、小さな群落をつくって、咲いていました。鳩待峠・山ノ鼻間のブナ林の山道では、エンレイソウ(延齢草)が咲いていましたが、オオカメノキやシラネアオイはこれから。
湿原でショウジョウバカマ同様に、多く見かけたのが、ワタスゲ(綿菅)の地味な花。7月になると、白い球形の綿毛が、目を楽しませてくれます。尾瀬ヶ原の山野草や木々の花は、これから。
ブログには、花の名前をよく知っているように書いていますが、本当はいつも、撮ってきた写真を都度、図鑑やネットで調べて報告しているのです。ここ7,8年、年に数回尾瀬を訪ね、そのたびに花の名前を覚えようとするのですが、忘れてしまいます。
今回は、水芭蕉に十分堪能した山歩きでしたが、同時に、入山者の多さには、驚きました。初老の二人づれの女性が、ベンチに休んでいる私たちに、声をかけてきました。「ニッコウキスゲはどこにありますのやろ?」。水芭蕉だけでは満足できないのかな。「ご夫婦ですか?」。何と見えたのか。「お歳はいくつ?」。お人よしの家内が歳をいったら、「それやったら、私らと同じぐらいや。ワハハハハ」だって。「なんかええ感じやは!夫婦で山歩きってええなあ」と、二人で盛りあがっています。この大阪弁の女たち、JRで金沢へ行き、そこから高速バスに乗り換えて、尾瀬にやってきた団体のツアー客。前夜は水上温泉に1泊した、という。早々に、好奇心の強い小母さんたちから、逃げました。
山ノ鼻の管理事務所で買った猪狩貴史編著『尾瀬の自然観察手帳』(JTBパブリッシング刊)に、尾瀬入山者推移のデーターが、載っています。年間(2003‐07平均)の週別推移と最多月6月(07)の日別推移、の2表です。
まず、年間の週別推移をみますと、3つのピークがあることが分かります。それら3ピークを折れ線グラフから読みとると、[6/6‐12 34千人、7/18-24 22千人、10/3-9 15千人]となります。各々がちょうど、水芭蕉・ニッコウキスゲ・草紅葉の最盛期に相当します。ニッコウキスゲの時期が最多だと思っていましたが、やはり「水芭蕉の尾瀬」が、もっとも人気があるのです。
では水芭蕉の咲く、6月の日別推移では、どうなのか。折れ線グラフは、5つの山を描きながら鋸歯状に、下がっていきます。2007年の場合、第1土曜日の6/2をピークに、6/9、6/16・・・と各土曜日が、ピークを描きつつ右下がりに推移しています。平日の昨日でも、鳩待峠の駐車場は観光バスがほぼ満杯でした。今週末の土曜日は、相当の人たちが、尾瀬に押し寄せてくることが予想されます。
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