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2010年6月18日 (金)

桑の実のこと

Img_47911_1 山里に点在する放置された桑園では今、濃い紫色をした桑の実が、たわわに実っています。近くの直売所には、ほんのわずか出荷されていますが、ほとんどは桑園同様、放置されたまま。わが家の愛犬がただひとり、地上に落ちた実を、武者ぶり食っています。この時期、犬たちのウンチは、真っ黒です。

Img_47941_1 群馬の養蚕農家は、最盛期の1968年には75千戸あったのが、90年14千戸となり、08年には400戸まで減少しました。桑園面積も、90年16千haから08年1千haへと激減しています。私の住む地区では、移り住んだ20年前には、数軒の農家が養蚕をしていましたが、数年前に最後の農家が止めました。ただ、この最後まで頑張っていたTさんは(彼は竹林整備の仲間ですが)、この秋には再度、養蚕に取り組むと、意欲的です。
Img_47951_1 さて再び桑の実の話。この地の住民になった当初、桑の実(どどめ)が美味しそうなので、摘んで食べることにしました。桑畑の持ち主に了解をとると、全部摘んでもいいよ、と笑われました。農家にとって桑の実は、農産物という意識はありません。早速、家内が桑の実ジャムをつくり、試食しました。はじめのうちは珍しさもあり、土着的な味覚を楽しんだのですが、そのうちにジャムづくりも食べることも、止めてしまいました。あの野生の味が、どうも口に合いません。近所でも、わが家の犬以外に、どどめを口に入れているものは、皆無のようです。「子どもの頃は、口の回りを真っ黒にして、よく食べた」 という年寄りたちの、昔語りの食べ物になったようです。
Img_47991_1 ほぼ20年ぶりに、桑の実ジャムに挑戦することになりました。昨秋つくった柚子ジャムがなくなり、当てにしていた梅が不作で未だ手に入らず、桃の入荷には大分間があるため、つなぎとして桑の実に登場願ったのです。課題は、あの野性味の克服。「どどめ」という名称も、いかにも土着的です。
 家内のとった工夫。①大粒の完熟果実の摘採、②果実を布で濾して果皮や軸を取り除き、果汁を搾り取る、③この果汁を原材料に、砂糖・ペクチン・クエン酸を加えて十分に煮込んで、出来あがり。スープの裏漉し効果からの着想でした。名称も「マルベリージャム」と衣替えして、さあ試食です。 
 Img_4816_1はたして、あの土着的な野性味が、消えました。良質なブルーベリージャムに近い、洗練された味わいです。これならいけると、家内は今日も、マルベリー摘みに出掛けました。
 
 栄西は『喫茶養生記』に、茶の効能効果とともに、桑が仙薬としてすぐれていることを記しています。桑の葉は、茶のように飲めば身も心も軽快となり、桑の木は枕とすれば頭痛もなく悪い夢を見ませんし、桑の実は蜂蜜とともに食すれば病にかからない、と教えています。今日では、桑の実が、ブルーベリー同様豊富なアントシア二ンを含んで目によく、また極めてすぐれた抗酸化作用があることもわかっています。放棄された桑園には、宝玉のような果実が、人知れず熟しているのです。

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