燧ヶ岳(ヒウチガタケ)登山 -前編 -
日曜日、尾瀬の燧ヶ岳に登りました。年に1回、尾瀬の散策を愉しむ60代の仲間7人での登山です。前日昼前に鳩待峠を出発し、尾瀬ヶ原を縦断して早い夕方に見晴に到着。その日は山小屋に泊まり、翌日、早朝から夕方までの終日、燧ヶ岳(写真池塘の後方)登山となりました。3日目は、温泉小屋から鳩待峠までゆったりと、尾瀬ヶ原散策を楽しみました。
今日は主に、尾瀬ヶ原の様子を報告し、明日、燧ヶ岳登山について記録します。
尾瀬ヶ原では既に、ニッコウキスゲがほぼ終わり、花たちも夏から秋のものに徐々に、代わりつつあります。この時期、一種類だけ優越したものはなく、やや目立ったのは、コオニユリ・コバギボウシ・ノアザミなど。いずれも秋の訪れをつげる花たち。 私の頭のなかでは、尾瀬の秋といえば、紫色の花たちのイメージが膨らみますが、サワキキョウは咲き始めたばかり、リンドウやトリカブトはいまだ姿を見せていません。尾瀬の秋のもうひとつの楽しみは、多様な形と色の実。鳩待峠から山ノ鼻ヘ下っていく山道には、タケシマランの赤い実が成っていました。また、サンカヨウ(山荷葉)の藍色の実も、山道脇のあちこちで、見ることができました。あの異形のツリバナやマユミの実は、いまだ若くて堅く閉じたままです。植物たちの実を楽しむのは、もうすこしあとのこと。
秋は紫色といっても、勿論、黄色も多い。とりわけ、やや大ぶりのマルバダケブキ(丸葉岳蕗)の姿が目立ちました。先に信州の池ノ平湿原を訪ねたとき、この花の蜜を吸うアサギマダラの番(ツガイ)をみました(写真はそのときのもの)。 この蝶をはじめて見たのは、数年前、尾瀬ヶ原の見晴で、フジバカマの花のまわりをフワフワと舞っているときでした。今回は、燧ヶ岳の山頂付近で一度だけ、みかけました。蝶といえば、クガイソウ(九階草)のミツを吸うヒョウモン蝶をあちこちで、見ることができました。
今回の尾瀬行は、晴れの天気予報にかかわらず、初日うす曇、二日目曇り、三日目曇りのち雨、と必ずしもいい天気とはいえませんでした。二日目の深夜は大雨となり、翌日の朝は、植物たちは一様に、水に濡れていました。ドクゼリ(毒芹)のかわいい鞠状の花も、雫を落としていました。繁茂するヤマドリゼンマイも、十二分の水分をとって、一段と元気な様子でした。ミズバショウやニッコウキスゲの季節には、ほとんど見向きもされない野草たちですが、花の少ない今の季節には、スゲ(菅)やカヤ(萱)などとともに、自然、眼が向かいます。秋の尾瀬ヶ原を彩る草紅葉の主人公たちです。
こうして、私たちの尾瀬ヶ原散策は、ぞれぞれがにわか博物学者となって、花よ蝶よと、美しい自然をひたすら追い求めるのでした。
(写真をクリックすると、拡大写真となります。)
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