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2010年10月29日 (金)

尾瀬は晩秋から初冬へ-下-

Img_7459_1 27日朝、未明に降った雪が、木道を真っ白に染めていました。窓外の気温マイナス2℃。尾瀬の初雪ですが、例年に比べ今年はやや遅い、と山小屋の若い女性従業員が云いました。微細な粉雪がまだ、舞っていました。前日の服装の上にセーターを重ね着し、さらに上下の雨衣を着込んで、7時10分、竜宮小屋を出発。

Img_7480_1_2  木道の雪は5㎝ほど積もっており、雪質はまさに、パウダースノウそのもの。私たち以前に歩いた人はなく、真っ白の処女地を踏み締めていきました。湿原の地塘も雪を被り、美しい紋様を見せています。山小屋に泊まっていた木道の付け替え工事の人たちは、朝8時から夕方5時まで作業するということでしたが、この雪の中、ご苦労なことです。出発して25分ほどで見晴に到着。6軒の山小屋はすべて閉鎖され、静まり返っていました。Img_7491_1_2  
 見晴からゆるい上りの段小屋坂を沼尻に向かいました。5㎞の行程です。ミズナラやブナの落葉広葉樹林の下には、人の胸高ほどのオオクマザサ(大熊笹)が生い茂っています。左は山、右は谷。樹林に入って間もなく、先頭のSさんが、「ヒョッー」と奇声を上げました。熊の足跡が、木道の雪の上に、くっきりと踏み押されていました。大きな肉球と爪痕が、はっきりと見えます。雪上の足跡は、ほんの少し前の通過を想像させ、 ちょっと嫌な感じ。Img_7549_1_3
  同宿の鹿害調査員の青年の話が、生々しく思い出されます。調査中、オオクマザサをかき分けて樹林に入ろうとした瞬間、目前にいる熊と対面しました。3歩後退して止まると熊は前進してきて止まり、更に3歩後退すると再び熊は前進してきました。彼は「ああここまでか」と思うや「どうせなら惨めな死に方はしたくない」ととっさに思い返し、背に負っていた鉈(なた)を手に、熊に襲いかかりました。一撃は失敗しましたが、熊はこの攻撃によって後退していった、という話をほんの1時間ほど前の朝食の席で聞いたばかりでした。Img_7554_1_2 
 尾瀬沼の沼尻に着いたのは、9時35分。静まり返った湖面に遊んでいた鴨たちが、人の声に驚き、一斉に飛び立ちました。しばらくして再び静寂の戻った湖面からは、微かな霧が立ち込めてきました。沼尻から尾瀬沼東岸をに向かう途中、「ニホンジカ捕獲作業について」という看板がたっていました。先の熊と格闘した調査員も語っていましたが、日光方面から100頭単位の多数のニホンジカが尾瀬に到来し、Img_7598_1_2水芭蕉、ニッコウキスゲ、ミツガシハなどの新芽を食いつぶし、植生群落が壊滅的になったところもあるということです。看板には、5/21~7/25と10/1~10/31の2回、大江湿原と浅湖湿原において、「足くくりわな」によって捕獲すると、環境省檜枝岐自然保護官事務所名で告知されていました。大江湿原に通りかかった時、沼山峠へ向かう登山客を、遠方から見かけました。この日初めて見た登山客です。
Img_7642_1_2 10時50分、尾瀬沼ビジターセンター着。気温は依然マイナス2℃。じっとしていると寒い。昼食もほどほどに、ビジターセンターの展示物を眺めて、30分ほどで出発。歩いてほどなくして三平下に。ヘリコプターが、木道取り替えようの材木を運搬していました。前日、鳩待峠から繰り返し飛び立つヘリコプターを見掛けています。尾瀬ヶ原と尾瀬沼の両方で、同時に施工しているのです。三平下にある尾瀬沼山荘は、これら作業員の宿泊のために、この日まで営業を延長していた、と山小屋から出てきた女性が云いました。
Img_7681_1_2  12時、三平峠着。今回の27㎞の尾瀬散策で、登り道はこれで終了。ここからは、前半はやや急な降り道を、後半はだらだらとした坂道を、大清水までの5.5㎞を降るだけになりました。そして、三平峠を越して間もなく徐々に、樹木の紅葉が見えるようになってきました。ミズナラやブナの黄褐色の落葉に混じって、ヤマモミジやイタヤカエデの紅葉が落ちていました。Img_7699_1_2雪の上の紅葉は、ひときわ明るく光彩を放っていました。
 山道から林道に降りたところに三平橋があります。その橋のたもとに、雪を被ったクマザサに囲まれ、美しく紅葉したヤマモミジがありました。雪が少し残っていますが、この辺りは、秋真っ盛りの感じです。初冬から晩秋に、後戻りした感じです。紅葉はやはり、モミジ類がきれいだなあ、と思っていた矢先に、豪快に彩られた山が眼前に現われました。Img_7729_2_2 黄褐色を基調に、紅や黄が混じり、これぞ東国の紅葉の醍醐味だ、といわんばかりの美しさでした。
 山の紅葉を愛でながら、14時10分、ついに最終地の大清水に到着しました。この日は、竜宮小屋から大清水までの16.7㎞を、丁度7時間かけて歩きました。標準時間6時間と比べて、やや時間がかかった感じですが、昼食・休憩時間をとったのと雪道であったことを考えると、この日も上々の歩きっぷりだったいえます。こうして、今年4回目の尾瀬行は、無事終了しました。  
                      

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