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加藤周一著『日本文学史序説』「第六章 第三の転換期」を、今しばらく読みつづけます。
加藤氏は、16世紀半ばから17世紀半ばにいたる100年間を、日本文学史上第三の転換期と称し、日本が初めて西洋と直面したことと武士権力が中央集権化を果たしたことを、この時期最大の特徴としました。西洋との直面については前回、キリスト教の受容と放棄で触れました。武士権力の中央集権化は、貴族・武士・町人・農民の世襲的身分の固定化と差別化をともない、このことが徳川時代の支配層と大衆の文化の二重構造をもたらします。室町時代、将軍から大衆までが、身分や階層を越えて一緒に、猿楽(能楽)や連歌を楽しんだのと好対照だとしています。
昨秋、加藤周一著『日本文学史序説』(ちくま学芸文庫、75年初刊)を読みはじめて、はやくも1年たちました。しかし読む速度は遅く、やっと「第6章 第三の転換期」(文庫版1,100ページの内400ページ)に入ったところ。すべてを読み終えるのは、何時のことか。
さて加藤氏は、日本文学史の第一の転換期を、輸入された大陸文化が「日本化」された9世紀とし、第二の転換期を、武士が権力を握り鎌倉仏教が起こった13世紀としました。そして、第三の転換期が到来します。16世紀半ばから17世紀半ばまでの100年間で、つぎの二重の意味で日本史の転換期だと、加藤氏は記しています。
第一は、西洋の影響 がはじめてこの国に及んだこと。第二は、分散化していた武士権力が求心化し、全国統一から幕藩体制確立にいたったこと。(写真:ザビエル像・神戸市立博物館所蔵)