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2012年5月14日 (月)

記憶しつづけるべき沖縄の日-4・28と5・15-

  5・15は、沖縄がアメリカ軍の占領から解放され、「祖国復帰」した日から40年目の節目の日となります。1972年5月15日、「核抜き・本土並み」を基本方針に、沖縄が日本に返還されました。しかし、核兵器は秘密裏に持ち込まれ、アメリカ軍専用施設面積のほとんどが沖縄に集中するという状況は変わらず、「核抜き・本土並み」という基本方針は、全くの欺瞞であったことが明らかとなりました。

 4・28は、沖縄では「屈辱の日」として記憶されてきました。1952年4月28日、前年に締結されたサンフランシスコ講和条約が発効し、沖縄は日本から分断され、アメリカの施政権下に入りました。沖縄戦で過酷な戦場となり、日本の「捨て石」となつた沖縄は再び、日本政府によって切り捨てられ、人びとはアメリカ軍の占領下、命と人権を蹂躙されつづけました。先月のその日は、「屈辱の日」から60年目にあたります。

 これら4・28と5・15は、いずれも沖縄の人びとにとっては、忘れることのできない日であり、沖縄を切り捨てた政府をもったすべての日本人が、記憶しつづけるべき日だと思います。60周年となり40周年となった今年の4・28と5・15の二つの日、沖縄に思いを寄せる日としたい。この二つの日をはさんだ日々、私は、大江健三郎著『沖縄ノート』(岩波新書、70刊)と目取真俊の3冊の小説(『水滴』(文春文庫、00年刊)『魂込め(まぶいぐみ)』(朝日新聞社、99年刊)『風音』(リトルモア、04年刊)と評論集『沖縄「戦後」ゼロ年』(NHK出版、05年刊)を読みつづけました。

  大江健三郎氏の『沖縄ノート』が書かれて40年以上たちますが、いまだアメリカ軍専用施設面積の74%は沖縄に集中し、このことに起因する沖縄の人びとの命と人権は「本土並み」にほど遠い。『沖縄ノート』の世界は、決して過去のものではなく、現在の沖縄をも表現しつづけています。そしてまた、沖縄を切り捨ててきた日本と日本人の変わらない様を、40年後の私たちに突きつけます。歴史の節目の年に是非、より多くの人びとに読んでほしい一冊です。

 大江氏は『沖縄ノート』の中で、繰り返し、自分に問い返します。「日本人とはなにか、このような日本人でないところの日本人へと自分をかえることはできないか」。「このような日本人」とは、どのような日本人なのか。大江氏は、琉球処分以後の近代・現代史において、沖縄に対する歪曲と錯誤と差別を繰り返してきた本土の日本人をイメージします。また戦後日本の平和と繁栄が、憲法から切り離された沖縄の犠牲のもとに達成されたことを、認識することのできない本土の日本人を、「このような日本人」として自己批判するのです。

 この節目の日、沖縄からの発言に、耳を傾けたい。目取真俊氏は、ブログ『海鳴りの島から』において、沖縄の現状について精力的に発言しつづけています。沖縄の米軍や自衛隊の動向が、生々しく報告されます。そのほとんどが、本土のマスメディアからは、知ることができない情報です。分析は的確で、批判は厳しい。4月の北朝鮮の人工衛星打ち上げに際し、日本政府は、PAC3を沖縄島・宮古島・石垣島に配備して、北朝鮮の脅威をあおりました。これに対して目取真氏は、沖縄にとって差し迫った本当の脅威は、北朝鮮のミサイルではなく、米軍のFA15戦闘機やFA18戦闘機、およびMV22オスプレイの墜落事故である、と看破しました。

 目取真氏の小説は、沖縄の習俗と自然と戦争をテーマにしています。とりわけ沖縄戦については、「戦場の中で沖縄の民衆がどう生き、どう死んでいったのか。生き延びた人達は戦争の記憶を心に刻み込んだまま戦後をどう生きていったのか」を描きつづけています(『沖縄「戦後」ゼロ年』から)。今後も、氏の小説を読みつづけていきたい。

 表題の『沖縄「戦後」ゼロ年』について、目取真氏は次のように指摘します。「アジア太平洋戦争で日本のアジア侵略の一翼を担い、最後は「国体護持」のために「捨て石」にされた沖縄は、その後「太平洋の要石」として、戦争と占領、植民地支配が継続する六十年を送ってきた。果たして沖縄に、戦争が終わった後としての「戦後」はあったのだろうか」。過去には、朝鮮戦争とベトナム戦争があり、そしてイラク戦争とアフガニスタン戦争がつづき、一貫して沖縄は、米軍の出撃基地でありつづけてきました。目取真氏は、「日本のために沖縄が犠牲になるのは仕方がない」と沖縄の現状を容認し、戦後の平和と繁栄を享受してきた日本人は、その醜さを自覚すべきである、と厳しく批判します。そして、本土の人間の無関心に応じて、現在の沖縄の人びとに充満する気分を、こんなつぶやきとして紹介します。「沖縄に同情したり、関心を持ったり、連帯しなくていいから、基地を持ってけよ」。

  

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