柚子の季節-気になる放射能-
毎年、庭のモミジが紅葉しはじめる頃になると、隣の農家から大量の柚子をいただきます。町の直売所で販売した残りをいただくわけですが、ただ柚子の販売量はさほど多くなく、大半はわが家に持ち込まれます。今年もすでに、段ボール2ケース分の柚子が運ばれ、家内はこれからしばらくの間、ジャムづくりに励むことになります。朝はパンを常食としているので、来春まで半年分のジャムを、この柚子によって確保することになります。
柚子といえば昨秋、福島産の柚子が、放射性セシウム汚染の暫定規制値(500Bq/㎏)を超えて出荷停止となる、というニュースがありました。同時期の群馬県の調査では、柚子の検査結果が1件(高崎産・11/2測定)あり、放射性セシウムは「未検出」となっていました。そこで、昨年産の柚子については例年通りにジャムにして、孫たちも含めて家族で食べました。当時の県測定の検出限界値が40Bq/㎏だと認識したのは、その後のことでした。はたして昨年の柚子ジャムは、正確にはどの程度汚染されていたのか、いまとなっては分かりません。
この夏以降、放射線による低線量・内部被ばくについて、映画を観たり本を読んだりしました。その結論を一言で言えば、「人間にとって放射能はゼロであることが望ましい」ということです。放射線による人体への影響度合いをあらわすシーベルト(空間線量率)については、被ばく線量限度として年間1mSV(自然放射線を除く)という国の基準がありますが、これは許容限度ではなく、住民によるがまん限度であるとされています。自然放射線や診断用医療放射線すら発ガン要因のひとつとして指摘されています。一方、放射性物質が放射線を出す能力をあらわすベクレル(放射線量)についても、国の基準値は一般食品100Bq/㎏以下と決められましたが、低線量・内部被ばくの影響をシビアにみる専門家たちは、とんでもなく高い基準値だとしています。食品に含まれる放射性物質は、限りなくゼロに近いことが望まれるのです。
今年産の柚子の放射性セシウムの汚染調査結果が、群馬県から出されています。10月31日、11月7日、11月14日の3回の農産物検査に、柚子が含まれています。それによると、7市町から各1点の検体の検査結果は次の通りでした。
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. 市町名 セシウム134 セシウム137 セシウム計(Bq/kg)
富岡市 6.09 9.52 16
下仁田町 4.99 9.23 14
甘楽町 13.9 24.3 38
高崎市 4.03 4.73 9
安中市 5.11 12.4 18
太田市 検出せず 2.3 2
神流町 4.98 8.82 14 .
柚子については、群馬県調査ではこの7検体分しか発表されていません。その7検体すべてから、放射性セシウムが検出されました。ほとんどの野菜類が「検出せず」となっているのとは対照的です。さて、我が家に持ち込まれた柚子は、どの程度汚染されているのでしょうか。そこで、高崎市内に今年4月ころ開設された「高崎市民測定所クラシル」を訪ね、出来上がった柚子ジャムそのものを検査することにしました。
検査結果は、次の通りでした。
核種名 放射能濃度(Bq/kg) 検出下限値(Bq/kg)
放射性ヨウ素 Ⅰ131 不検出 2.44
放射性セシウム Cs134 不検出 3.94
Cs137 不検出 3.60 .
不検出 10
検出下限値10Bq/kgという限界がありますが、とりあえず身近に測定できるところでの結果は、以上のとおり「不検出」でした。すこしは、安心といえるかもしれません。しかし、2,500円の検査料を払っての帰路、家内と悩みつづけます。さて、孫たちにこの柚子ジャムを与えていいものやら。悩みが尽きません。
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