「放射能からも子どもを守る会」の発足
日曜日の午後、町の文化会館・研修室に、三々五々、人びとが集まってきました。鎌仲ひとみ監督作品『内部被ばくを生き抜く』の上映会と、「放射能から子どもを守ろう!吉井の会」発足の集いへの参加者の皆さんです。ほとんどが町内や近隣の町からの参加者ですが、なかには前橋から来た人もいました。高齢者に交じって3,40歳代の人たちの姿も見られます。しかし10~20歳代の若者はきませんでした。
この会は、昨年の3・11以降、福島被災地へのボランティア、「さようなら原発アクション」の集会・デモ、福島の子どもたちの草津温泉での短期保養プロジェクト等などに、ぞれぞれが個人的に参加した仲間が集まって、「この町で放射能から子どもを守る活動ができないものか」と話し合い、何度かの学習会や映画上映会を経て、この日の発足に至ったものです。この1ヶ月は、世話役8人が手分けして、映画『内部被ばくを生き抜く』のチケット販売と住宅へのビラ配布をやり、準備にあたってきました。おかげで50人ほど入る研修室が、ほぼ満席となりました。
映画『内部被ばくを生き抜く』については、9月1日の「里山のフクロウ」で触れていますので、ここでは会の発足の集いについて記します。
冒頭、世話役を代表してM子さんが、挨拶しました。彼女は、一番若い女性、ということで選ばれました。平均年齢70歳の世話役にあって、50歳代は最年少。「福島の子どもたちと被災者に思いを寄せながら、私たちの子どもたちを放射能から守る取り組みをやっていきましょう」と、にこやかにしかも力強く挨拶しました。
次に、事務局をあずかった私が、会発足までの経過を報告し、今後の活動について提案しました。会の目的として「放射能から子どもを守ろう! さようなら原発! 福島の被災者支援!」の3項目をあげ、内部被ばくについての学習会・脱原発アクションへの参加・被災者支援を、会の活動計画として呼びかけました。また、群馬県内、とくに吉井町とその周辺の放射能汚染状況について、放射能汚染地図(群馬大学・早川由紀夫氏作成)や農産物検査結果(群馬県調査)などを使って、説明しました。
世話役からの挨拶と提案の後、参加者の間での意見交換がおこなわれました。以下、発言とアンケートから、主なものを記します。
① 福島で暮らす子どもたちのことを思うと、心苦しいものがありました。国をあげてもっと、子どもを守ることを考えていかなければと思います。
② 福島の子どもの短期保養のための草津楽泉園プロジェクトの手伝いをしました。楽泉園に住むハンセン病の元患者さんたちは、国によって故郷を奪われた自分たちの体験と、原発事故で故郷を失おうとしている福島の人たちを重ね合わせて、避難者に思いを寄せています。
③ 子育てしているお母さんたちが、内部被ばくについて知る機会が増えればなあ、と思います。保育園や学校の保護者に、この会の活動について伝えてほしい。
④ 日の経過とともに、原発や放射能への関心が薄れていきそうです。小さな子どもたちや日本の将来を担う若者たちが危ないと知ったなら、もっと真剣にならなければならない、と思いました。
⑤ 子どもが二人います。少しでも食品からの被ばくを避けたいと思っています。また、家族で遠出をしたりしながら、放射能のより少ないところですごしたいと思っています。
⑥ 市の調査で、柚子が放射性セシウムに汚染されている、ということです。毎年、柚子皮の甘露煮を作っているのですが、食べても大丈夫でしょうか。
⑦ 放射線が降り注いだあの時、子どもを外に出さなければよかったとか、食べ物にもっと気をつけていればよかったとか思っていたけれど、これからの食生活を考えることで、内部被ばくから守れるんだと、映画をみて少し安心しました。
柚子の質問は、会の終了後、私のところに来た農家の女性がしたものです。もとより、専門家でない私に答えようのない質問でした。ただ、前回の「里山のフクロウ」に書いた群馬県サイトに公表されていた「柚子の検査結果」について教えました。つまり、群馬県内の7市町からとった7検体で、放射性セシウムが2~38Bq/kg含まれていた。そして、検体の近隣地でとれた柚子で作ったジャムを検査したところ不検出(測定範囲10Bq/㎏以上)だったので、私は食べます、といいました。では食べていいのですね、と念を押す彼女に、いいかどうかは分かりません、と返事をしたら、怪訝な顔をして去りました。
この発足の集いには、高崎の会からお祝いと激励のメッセージをいただき、また安中の会から、二人の女性が参加され、挨拶されました。近隣の会との共同の活動も、今後のテーマだと感じました。
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はじめまして
様々な取り組み拝見しました。
さて、私たちの町、栃木県日光市は放射能汚染地帯です。しかし、観光優先で子どもたち、市民が心配です。市の広報には、放射線量値を1度も掲載したことはありません。すごく厳しい状態です。
さて、さる4月1日に草津町の廃棄物処理業者と日光市は、4000Bq/kg以下のゴミ焼却灰の最終処分の契約をしました。市が言うには、いまだ運び出していないといいます。日本中に放射能汚染物質が知らぬ間に拡散されていくことに我慢ができません。8000Bq/kg以下についても東電、福島原発敷地内に返却すべきと考えます。
私たちは力がありませんが、少しでも情報交換できればと思います。
投稿: 日光-放射能から子どもを守る会 | 2013年6月 5日 (水) 17時31分
コメントありがとうございます。
群馬県でも、放射線量の高い水上・利根地域が、皆さんの日光と同じ状況がつづいています。観光のため「風評被害」という名の汚染隠しで、放射能汚染と向き合うことからエスケープしています。
今後も、持続性を大切にして、ともに頑張っていきましょう。
投稿: 里山のフクロウ | 2013年6月 6日 (木) 12時14分