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2013年8月22日 (木)

フランドルおよびアルザス、ロレーヌへの旅 -11-

ヴィック・シュル・セイユ、ヴェルダン(7/30・火、ともにロレーヌ地域圏)

 ラ・トゥールの「蚤をとる女」に魅せられた娘と私は、彼の生地ヴィック・シュル・セイユを訪ねることにしました。そこには、もうひとつのラ・トゥール作品があるのです。
 ナンシーから東北東へ30㎞、車で40分ほどのところにヴィック・シュル・セイユがありました。人口1300人ほどの小さな町ですが、町内には15~18Cに建てられた古い建物が建ち並び、なかなか風格のある町でした。Img_0457

 町役場(写真上)は、かつてはカルメル会修道院(17C)であったところ。壁には、日時計が仕掛けてありました。町情報を得るために旅行案内所を訪ねましたが、その建物は1456年建設の住宅のあとでした。上階のバルコニーが珍しい。この町はむかし、食塩の産地として繁栄していましたが、その頃の名残りが、こうした建物に反映しているのかも知れません。Img_0458  中世の城門やジャンヌ・ダルク像の立っている町の中心広場に、県立ジョルジュ・ド・ラ・トゥール美術館がありました。モダンな建物ですが、古い伝統的な町並みにうまく調和しています。ここに、「荒野の洗礼者聖ヨハネ」があるはずです。Img_0462  館内には、ラ・トゥールの同時代とその後の画家たちの作品が、展示されていました。なかなか見ごたえのある作品が多い。しかし、この日の目的は「ラ・トゥール」 。それは、もう一点のラ・トゥール作品とともに、「個室」にありました。「荒野の洗礼者聖ヨハネ」。  暗闇のなかにひとり、羊飼いの青年が静かに目を閉じて、座っています。右手に草をつかみ、子羊に食べさせています。左手は杖を握りしめ、体を支えているようです。杖の上部をみると、それは十字架のようです。観者は、この十字架と子羊から、羊飼いの青年が荒野で修行する洗礼者聖ヨハネであることを了解します。光源は描かれてませんが、光が画面の左後方から洗礼者聖ヨハネを照らしだし、その姿を浮きあがらせます。腰に巻いた粗布は、闇に消えてしまいそうです。あとは闇があるばかり。東洋人を思わせる顔と痩せた身体を見つめる子羊のやさ しい目は、洗礼者聖ヨハネの孤独感を、一層際立たせます。静かな絵です。Img_0467 この絵は、1993年にパリの競売所で発見され、ルーヴル美術館によって真作と認められたもの。ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの名は、死後250年の間忘れられ、20世紀になって初めて評価され始めた、ということです。この絵の発見がわずか20年前だったのも、うなづけます。ラ・トゥールの部屋にあったもう一枚の絵は、女性の頭部を描いた小作品です。赤いベレー帽をかぶった女性は、目を落とし口をつぐんで、何か考えているようです。Img_0477  ラ・トゥールをみた後しばらく、ヴィック・シュル・セイユの町を散策しました。ゴシック様式の尖塔の美しいサン・マリアン教会にいきました。聖堂内部の後方に、美しい洗礼盤がありました。水盤の横に「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール1593.5.14 洗礼 」と記されていました。 また、外壁のニッチに嵌め込まれた彫刻は、1308年製作とありました。Img_0493

ヴェルダン

 フランス最後の訪問地は、ロレーヌ西部にあるヴェルダンの戦没者慰霊塔。Img_0568 ヴェルダンは第一次世界大戦で、最も激しく戦闘の行われたところ。ドイツとの国境に近く、首都パリへの経路にあったヴェルダンは、独仏両軍にとって戦略的に最重要な地点にありました。両軍は、1916年2月から12月までの10ヶ月間、拠点の執拗な争奪戦をくり返し、壮絶な戦闘をつづけました。  最終的には、フランス軍が占領地を奪還することに成功し、戦闘は終わりました。 この間の死傷者は、フランス軍36万人、ドイツ軍34万人。Img_0554 フランス・ドイツの両国にとってヴェルダンは、第一次世界大戦での犠牲者を追悼し、その惨劇を記憶しつづけるべき象徴的な場所です。1984年、フランス大統領ミッテランと西ドイツ首相コールは、この地で手を結びともに両国の戦没者を追悼しました。 広大な森にかこまれた地に多数の墓碑が並んでいました。十字架とともにイスラム教徒の墓碑も多数ありました。 Img_0561 墓地の近くには戦争博物館があり、多くの子供連れの見学者が訪れていました。Img_0541

 

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