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2013年8月23日 (金)

フランドルおよびアルザス、ロレーヌへの旅 -12-

トンゲレン(7/31・水、ベルギー・フランドル・リンブルク州、人口3万人)

 7月20日からのアルザス、ロレーヌ旅行は、ヴェルダンを最後に終了し、フランドルに戻ってきました。高速道路を避けて一般道を走りながら、フランスとベルギーの国境を注意して観察していたのですが、これといったものは何もなく、ただ道路標識とともに、EU旗の真ん中に「ベルギー」と書かれた看板が立っているのみ。地名を赤色のバッテンで消してあるのは、その地名のフランスの村はここで終わり、の印。国境が村境と同じになっています。Img_0579

 ベルギー北西部の小都市トンゲレンを訪問。EU条約(1993)で有名なマーストリヒト(オランダ)の西方20㎞、ブリュッセルの東方90㎞の地点にあります。ベルギー最古の都市のひとつといわれ、旧市街の周りにはローマ時代に築造された城壁が残っています。フランドルの人びとの自慢の街のひとつらしく、娘の知人に奨められてやってきました。Img_0809 街の中心にあってひときわ高い尖塔が目立つ聖母教会。ロマネスク様式の回廊は、人気がなく静まり返っていました。バシリカと呼ばれる教会堂に入ると、彩色されたピエタ(嘆きの聖母)像がありました。今回の旅行中も、各地の教会でピエタ像を見ましたが、ここの聖像は際立ってユニークなものでした。やせ衰えたイエスの亡骸を抱いたマリアは、悲しみと怒りをじっとこらえているようです。Img_0639_3 数多くあったレリーフのなかに、海戦において十字軍兵士がイスラム兵士に襲い掛かるところを描いたものがありました。フランドル貴族たちも、十字軍遠征に参加したことがわかる。この教会堂の外壁には、「1240-1544 ゴシック」と記されたアクリル板が張られていました。Img_0640_3  ベギン会修道院を訪ねました。ひとつの建物ではなく地域一帯の町が、そのように呼ばれています。レンガ造りの建物は古く、外壁には「1602」「1644」などと建築年が書かれています。その一角にあった小さな博物館に入ってみました。受付の中年女性が、親切に応対してくれました。オランダ語をほめられた娘は気分よく、女性の話す修道院の歴史を長々と聞くことになりました。Img_0729  それによると、13世紀、カトリック神父が、困窮した女性たちを保護したのが始まり。夫に先立たれ寡婦となった女たちや貧しい独身の女たちが、救いを求めてやってきました。やがて、上層階級のなかから、結婚に恵まれず家庭にいられなくなった女性たちが、多額の持参金をもってやってきました。こうした有産階級出身の女性と貧しい階級出身の女性の間には、別々の住宅に住むなど、厳しい格差がありました。
 ベギン会修道院の場合、他の修道院のように神への誓願を立てませんが、女性たちは厳しい規律のもと、瞑想と労働の日々を送りました。仕事は、主に刺繍や織物でした。入会した女性の中には、再び結婚して修道院を離れる者もいました。400年ほどの間、ついにひとりの修道女も生まれることはありませんでした。Img_0696  以上がベギン会修道院の概要です。これだと、修道院というカテゴリーでは説明できないのではないか。むしろ、女性を対象にした救貧院とか駆込み寺の趣きではないか。いや待て。ここには女性の救援を超えて、信仰と労働をとおした女性文化の創造があり、建築と都市計画への強烈な意志があります。ベギン会修道院の街並みを歩いていて、そのように思いました。それはともかく、あいつぐ十字軍遠征や戦争、あるいは黒死病の蔓延によって、夫や恋人を亡くした女性たちは大勢いたことでしょう。また、男たちの暴力から逃げるために、ベギン会の門を叩いた女性たちもいたかもしれません。博物館の半地下の食堂では、ローソクの火が点って、すこし明るくなりました。階段の壁には、2,3年前に描かれたという楽しいイラストが、掲げられていました。Img_0684 Img_0691 Img_0692 この街には、ローマ時代の城壁とは別に、中世に街を囲み込んだ城壁や城門の跡がありました。城壁には「1379」のプレートが張ってありました。城門の上階に上がって、ベギン会修道院の方向を見渡しました。美しい街並みが、目に飛び込んできました。Img_0769 この伝統ある古い町にも勿論、現在の日常生活があります。子どもたちは、どこでも同じです。Img_0789

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