ローラン・ビネ著、高橋啓訳 『HHhH プラハ,1942年』
小説『HHhH プラハ,1942年』の原題“HHhH”は、奇妙な題名です。ドイツ語の“Himmelers Hirn heißt Heydrich”(ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる) の頭文字をとった略語だと、「訳者あとがき」が教えてくれます。ヒムラーの右腕だったラインハルト・ハイドリヒは、優れた頭脳と指導力によって、ナチスの政策を次々と実行し大きな成果をあげました。この「HHhH」は、ゲーリングがラインハルト・ハイドリヒを賞賛すると同時にヒムラーを嘲笑して語った言葉とされています。