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2013年12月29日 (日)

2013年 年越しの歌 3曲

  2013年の暮れ、YouTubeで次の3曲の歌を、聴きます。
  中島みゆき 『世情』
  Metis 『人間失格』
  元ちとせ 『死んだ女の子』
 これらの歌が、紅白歌合戦のように「年末にふさわしい」からではなく、2013年という年の暮れにこれらの歌を聴いたら、歌手たちの発する誠実なメッセージのなかに、危機の時代への深刻な警告を、読み取ることができるからです。

 自民党の石破幹事長が、自らのブログに「デモはテロ」と書いたとき、中島みゆきのシュプレヒコールの歌(『世情』)を思い起こしました。石破は、シュプレヒコールの大音響をテロと決めつけたのだから、この連想は当を得たものと思います。その『世情』ですが、第一節のあとに「シュプレヒコール・・・」がつづき、第二節の後には、「シュプレヒコール・・・」のリフレインが三度、折り返されます。

 世の中はいつも 変わっているから
 頑固者だけが 悲しい思いをする
 変わらないものを 何かにたとえて
 その度 崩れちゃ そいつのせいにする

 シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく
 変わらない夢を 流れに求めて
 時の流れを止めて 変わらない夢を
 見たがる者たちと 戦うために

 目で読んだ詩は両義的でやや難解ですが、中島みゆきによって歌われた「シュプレヒコール」を、2013年の政治を背景に耳で聞いたなら、「変わらない夢」を追い求める「頑固者」に、憲法の平和と民主主義を希求する人びとをイメージできます。平和と民主主義は、「変わらないもの」=「不易」、つまり永遠の真実と普遍的な価値なのです。
 12月23日、天皇は誕生日に当たり、戦後日本は、「平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法をつくった」と記者会見で話しました。いまでは、平和と民主主義を語る政治家が極めて少なくなった中で、天皇のこの言葉は、大変新鮮に聞こえました。私たちは、「頑固者」の仲間を、ここに見出すことができます。

 Metisの『人間失格』は、3・11東日本大震災の直後、大津波被害の悲惨な状況を撮った写真スライドのBGMとして、YouTubeにアップされたものを聴いたのが、最初でした。大津波の犠牲となった被災者の姿を映像で追いながら、「泣きたければ 泣けばいい 叫びたければ 叫べばいい」とうたうMetisの歌に、涙をぬぐいました。そして今年秋、特定秘密保護法が与党の強行採決によって成立した時、再びMetisの『人間失格』のメッセージを聞き返し、傷心を癒やされ、励まされました。

 涙を忘れていませんか?
 大事なことから逃げてませんか?
 自分に嘘をついてませんか?
  諦めることに慣れすぎてませんか?

 元ちとせ 『死んだ女の子』は、若松孝二監督の映画『キャタピラー』の主題歌として、聴きました。この映画は、2010年のベルリン映画祭で、寺島しのぶが最優秀女優賞を受賞したことで話題になりましたが、何よりも若松監督の「戦争の真実から眼をそらすな!」という強烈なメッセージが印象的な作品でした。
 安倍自公政権は、首相の強力なリーダーシップのもとに、国家安全保障会議を設置し、特定秘密保護法を成立させました。また武器輸出三原則のなし崩し的な形骸化をはかり、さらに集団的自衛権行使の容認に踏み込もうとしています。来年度予算案では、軍拡路線を明確にしました。一方で、韓国、中国の警告やアメリカの懸念にかかわらず、安倍首相は靖国神社参拝を強行し、韓国・中国はもとより、アメリカ、ロシア、EU、国連などほとんどの国・国際機関から厳しい批判を受けました。安倍首相が歩んでいる道は、近隣諸国との和解と友好の道ではなく、対立と緊張を悪化させる道です。平和ではなく、戦争への道です。元ちとせは、『死んだ女の子』の最後の一節で、次のように歌います。

 戸をたたくのはあたしあたし
 平和な世界に どうかしてちょうだい
 炎が子ども焼かないように
 あまいあめ玉がしゃぶれるように
 炎が子ども焼かないように
 あまいあめ玉がしゃぶれるように

 後世、「歴史の転機となった年」と評されそうな2013年の暮れですが、誠実で真摯なメッセージを伝えているこれらの歌に耳を傾けながら、年越しを迎えたいと思います。

  新年の平和と民主主義に栄光あれ!

 

 

 

 

 

 

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