国会正門前道路が解放された! 8.30 戦争法案廃案!安倍政権退陣!国会10万人・全国100万人大行動
昼過ぎ、永田町の国会図書館前に到着した時には既に、歩道は半分近く人に埋まっていました。そして、時々刻々と人は増えつづけ、開会の2時前には、歩道はほとんど通行できないほどになりました。「国会10万人結集」の実現を肌身に感じました。やがて、狭い歩道の群衆のなかにいて息苦しくなってきたので、国会正面前の憲政記念公園へ場所を移しました。途中、ハンガーストライキを闘う数人の学生が、道端に座りこんでいました。ハンストはすでに70時間を超し、学生たちはげっそりとやつれだしており、思わず「頑張って!」と声援をおくりました。
憲政記念公園の入口付近では、高校生たちが合唱していました。彼・彼女らは、「怒れるものの歌が聞こえるか・・・」と、いまだ幼さの残る顔を紅潮させて、歌いつづけました。自由の森学園の生徒たちでした。開会の2時になると一斉に、「戦争法案廃案!安倍政権退陣!」のシュプレヒコールの大音声が、あがりました。公園のなかにいた私たちも、大声でシュプレヒコールで応えました。やがて、国会正門前の道路が「解放された」というニュースが伝わってきたので、急いで、国会正門前に行きました。現場は、立錐の余地がないほどに、びっしり人びとで埋め尽くされていました。
国会正門前のステージでは、「安保法制」に反対する野党党首が挨拶に立ち、その声が拡声器を通して聞こえてきましたが、大群衆のなかから次々とわき起こるシュプレヒコールとこだまし合って、内容はよく聞き取れません。しかし、共産党の志位さんや生活の党の小沢一郎さんの挨拶には、ひときわ大きな拍手と声援が起きました。私のすぐ近くで、小さな太鼓とサックスをともなったシュプレヒコールを先唱する一団が、声をあげつづけました。ひとりの若い女性が、ハンドマイクをもって、「戦争法案成立反対!安倍政権は今すぐ退陣!」とシュプレヒコールをあげました。その姿はまるで、戦争で亡くなった霊たちの憑依した巫女を連想させました。日の丸を掲げた参加者は、右派の愛国者なのでしょうか。拡声器からは、「アベから子どもを守ろう!」「アベから命を守ろう!」「アベから日本を守ろう!」「アベから世界を守ろう!」のコールが、聞こえつづけました。
細い雨が降り濡(そぼ)つなか、国会正門前の道路を埋め尽くした群衆のひとりとなった私は、国会議事堂を正面に見据えつつ、シュプレヒコールを繰り返しました。すると胸の奥の方から、何か熱いものが思わず、こみ上げてきました。私の心身はあきらかに、興奮し感動していました。久々に体験した、若い人たちが先導し年老いた者たちが従っていく、反戦と民主主義を求める大きな大きな民衆行動でした。
やがて私の心のなかに、死んだ街に建った墓石のような議事堂が、思い浮かびました。この日とは逆に、静まり返った無人の道路を、ひとりの男がリアカーに棺を積んで、議事堂を後にする、あの松本竣介の絵でした。1942年に描かれたこの絵は、軍国主義が跋扈し議会制民主主義が葬られたことを象徴する絵画として理解していましたが、群衆に囲まれた議事堂の前で私は、この棺には「戦争法案」と「安倍政権」が閉じ込められ葬り去られることを予感させるものとして、解釈し直したのです。 (松本竣介画『議事堂のある風景』1942年)
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