「過去」をどう伝えるか-ベルンハルト・シュリンク著『朗読者』を読む
今年の1月、戦後70年の節目の年を意識し、エヴァ・ホフマン著『記憶を和解のために-第二世代に託されたホロコーストの遺産』を読みました。ホロコーストからの生還者の両親のもとで育ったエヴァ・ホフマンは、第二世代(生存者の子供世代)が過去と現在を繋ぐ存在として、ホロコーストの意味を次世代に伝えていく使命を、強く自覚します。このテーマを「加害者の子供世代」の立場から追究しているのが、ドイツ人作家・法学者のベルンハルト・シュリンクです。彼の世界的な大ヒット作品『朗読者』を読みました。