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19人もの死者をだした相模原市の重度障害者殺傷事件は、世界各地でつづくテロによる多数殺人事件を連想させ、日本国内だけでなく世界を震撼させました。また、各メディアの報じた「重度障害者は生きていても意味がないので、安楽死にすればいい」「障害者は不幸を作ることしかできません」「世界経済の活性化のため」といった容疑者の言葉は、ナチス・ドイツが優生思想により、ユダヤ人虐殺に先立ち、知的障害者や精神障害者など約20万人を抹殺したことを、思い起こさせます。事件直後、全盲と全ろうの重複障害を持つ福島智・東大教授は、事件の背景として、「労働力の担い手としての経済的価値や能力で人間を序列化」する現在の世界を覆う新自由主義的な人間観にあるとし、「そこでは、重度の障害者の生存は軽視され、究極的には否定されてしまいかねない」と指摘しました(毎日新聞7/28)。